太陽は月を愛した嫌われようとも


これの続き





「…俺、Mなんやろか」

眠そうに瞬きを繰り返すなまえの横顔を見ながら呟く。
ずいぶんと嫌われているようだったから、なんとなく気になってはいたけれど。まさかここまで好きになるとは思わなかった。ただ目が合うだけで警戒したような表情をする彼女に、妙にゾクゾクする。うわ、変態やん俺。

「…なに」
「ん、や、なんもあらへんよ」

怪訝そうな顔をしたなまえが寝る体勢に入った。俺の席からは後頭部しか見えない。まん丸い頭。撫でてみたいところではあるが、多分引かれて終わるだろう。まず、ここからでは届かない。
程なくして規則正しい寝息を立て始めた彼女に、少しだけ席を近づける。午後の最後の授業中に一番後ろの席を気にするような生徒なんておらず、難なく近づくことができた。

「かあええなあ」

何かが怖いのか俺を避けていて、冷たい反応はするけれど決して直接嫌いと言うことはない。脈があるかないかで言えばない方かもしれないが、多分、意識はされているだろう。
今日も授業が終わる。彼女が振り向くまであと少しだ。




―太陽は月を愛した嫌われようとも―

(俺は本気やぞ、見ときなまえ)



2014.01.24

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