お兄さん流あいさつ






のんびりした空気に寝返りをうてば、可愛い妹の寝顔が目の前にあって。
吸い寄せられるように口づける。
柔らかい隙間を縫って舌を捩じ込むと、きゅうと瞼が強く閉じられるのが見えた。

「…んん、」

お兄ちゃん、
苦しげに紡がれたその言葉に身体が強張るが、どうやら起きてはいないらしい。
ほっと息を吐いた瞬間、見開かれた目。
何か言いたげに口を動かしているが、声も出ないほどに驚いたようで。
すぅ、と大きく息を吸った妹の声が家中に響いた。

「お兄ちゃんの、ばかぁぁぁっ!」




─お兄さん流あいさつ─

照れ屋な妹も可愛いけど、誕生日くらい許したっていいと思うよ。

(えー、毎朝してるだろ?)
(今日は私からしたかったのに…)
(ん?今からしてもいいんだけどなー)
(っお兄ちゃん!)
(痛っ…お兄さん傷ついちゃうわ!)



2009.11.16 修正

フランシスの誕生日SSだった代物。



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