ニコチアナ





「銀ちゃん銀ちゃん!」

今日は原チャリ乗らないの?
なんて訊ねながら、まだ真新しいヘルメットを愛おしげに眺める彼女。
昨日渡したばかりで、それには傷一つない。

「ねぇ銀ちゃーん、」

早く、と急かしてくる彼女が愛おしい。
ヘルメットを渡した瞬間を思い出すだけでも、微笑ましい気持ちになって。

「んなに焦らなくても、今出かけるっての」
「あ、待って待って!」

ぐい、彼女に腕を引かれたと思えば、唇に触れる柔らかい彼女のそれ。
2人が離れた後、
原チャリに乗ってたらできないもん。
照れたように言う彼女に無理やりヘルメットをかぶせたのは。
多分耳まで赤く染まっているであろう顔を見られないためというのと、ちょっとした照れ隠しだった。




─ニコチアナ─
花言葉は、あなたがいれば寂しくない。


(銀ちゃん、)
(あー!?)
(大好きだよー!)
(ばっ、お前、なんでこのタイミングで…っ)
(だって、一回言ってみたかったんだもん!)

(あ、土方さん。今、目の前で原チャリに乗った二人組が信号無視しやした)
(てめェら、一旦止まれやァァァ!)
(旦那、頑張って下せェよ)
(てめェも行くんだろーが!)


2008.09.10

2010.03.10 修正
紗羅さんへ!


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