※中学生ヒロト×保育園児リュウジ














いっしょにあそぼ?




部活のない日は、早く家に帰って好きなことに没頭したいもの。だけど、俺にはやることがあって、今はその為に目的地に向かって走っているところ。
俺の通っている中学校からはあまり遠くないところにあるそこからは、夕方だというのに楽しそうな声が聞こえてくる。俺は週一に来るここが案外好きだったりする。

今日は委員会があって遅くなってしまった。走ってきてしまったせいで乱れた学ランのシワをほんの少し伸ばし、門に手をかけた。

「こんにちは、先生」
「あら基山くん。お迎えよね?」

声をかけた先生は、子供たちにもみくちゃにされながらも笑顔を俺に向けた。こんな風になりながらもこんな笑顔を見せられるのは、やっぱり子供が好きだからだろう。

「リュウジ、います?」
「ちょっと待ってね、呼んで来るから」

そう言って先生は奥へ消えていった。
そう、ここは保育園。
保護者のお迎えが来るまで、園児たちは元気に外で遊んでいる。
俺がここに何しに来たかと言うと、やっぱりお迎え。弟、じゃなくて、近所の男の子。名前は緑川リュウジ。リュウジの両親の仕事が忙しく、俺の部活が休みのときだけ俺が迎えに行っている。そして家では一緒に遊ぶのだ。

「基山くん、リュウジくんそこにいるんだけど…」

先生の指差した先には、確かにリュウジがいた。だけど、何かを追いかけているらしい。
よく目を凝らすと、水色の園児服を着たリュウジはもみじのような小さな手を伸ばして、一生懸命な顔で何かを追いかけている。
その何か、はわからなかったけど、リュウジの緑色の髪のポニーテールは、犬のしっぽのようにふわふわと揺れていた。
そして立ち止まり、突然こっちを向いたかと思ったら、こっちにててて、と走ってやって来た。

「ひろと!」

キラキラとした笑顔で俺のふくらはぎ辺りにむぎゅっ、と抱きつく。かわいい。いくらほぼ毎日見ているとは言っても、かわいいものはかわいい。

「何を追いかけていたんだい?リュウジ」
「あのね、ちょうちょ!ちいさくて、しろいやつ!」

その小さな頭を撫でながら聞いてやると、楽しそうな返事が返ってくる。

「リュウジくんは基山くんが好きなのね。毎週楽しみに待ってるものね、基山くんが来るの」

リュウジのかばんや帽子を持ってきた先生が言った。驚いて下を見ると、えへへ、とリュウジが笑っている。

「うん!だっておれ、ひろとすきだもん!」

脚をさらにぎゅうっと抱きしめられた。思わず顔が綻ぶ。

「さぁリュウジくん、早く帰って基山くんに遊んでもらってね?」
「はーい!」

元気よく返事をしたリュウジは、先生から帽子とかばんを受け取り、さようならを言って俺と一緒に園を出た。



リュウジの小さな手を握って、帰り道を歩く。

「ね、リュウジ。今日は何して遊ぼうか?」
「さっかー!」

目を輝かせながら答えるリュウジは、とても嬉しそう。

「おれね、ひろととさっかーやるのだいすきなの!大きくなったら、ひろとみたいになる!」

だったら俺は、リュウジから見ていいプレイをしないとな。

そう思って苦笑し、リュウジのお母さんが結ったポニーテールを崩さないように、そっと撫でてやった。





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