幸せなんて人それぞれ




プシュ、と缶のタブを開ける。そしてその中からジュースの中身が思いっきり出てくる…なんてヘマは誰かにイタズラでもされない限りもうしない。


「風呂、出るの早かったな」
「君が早く出るよう言ったんだろう」

はい、ともう1つのジュースを風介に渡す。それと同時に一口飲んで、ゴクリと喉を鳴らした。

「で、話って何だ?」

風介をここに呼んだ理由。それはいわゆる、恋愛相談というヤツだ。
風介と晴矢は仲が良い。まぁ俺とヒロトだって仲は良いんだけど、それとはまた違った意味で。ケンカするほど仲が良い、というヤツか。
実際、そんな彼らを見ていて、秘かに憧れていたりするのである。お互いにうるさいうるさい、と口では言っていても、本当はそうではなくて、求めあっているというか。

「私と晴矢のような仲になりたいということか?」
「うん、まぁそういうこと」

ここで、風介もジュースに口をつけた。風介の細い喉がゴクリ、と鳴る。

「私も晴矢も、本質は似た者同士なんだ」
「は?」

どこが似ているのかわからずにいると、風介がため息を1つ。

「お互いに素直じゃないんだ。だから軽口ばかり叩き合っている。行動で気持ちを示すしかないんだよ」
「…」
「私から見れば、君たちの関係の方がよっぽど羨ましいけどな」

まとめてみれば、こういうことか。俺は俺、風介は風介で悩みがある。お互いに、羨ましく思っていたのか。

「要するに、」

風介が、俺の顔を見た。

「羨ましく思っていても、私は今のままで十分だ。君は?」
「…うん!」

結局は、俺も今のままで十分なのかもしれない。言葉で伝えるだけ伝えて、たまに行動で示して。
それはそれで、幸せだ。

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おひさまのうた」に提出
素敵お題ありがとうございました!





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テーマ「人外ファンタジー」
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