※みんな高校生 夢のあとさき 「ずっとずっと一緒にいよう」 そう口にしたのは紛れもなくヒロト自身だった。俺はいつだってその言葉を信じていたし、ヒロトだって、限られた時間の中でそれを実行してくれていた。終わることなんてない。いつの間にか、そう思っていたのかもしれない。 高校2年の冬。グレーの空は雪の雲なんだか雨の雲なんだかわからない。でも断言できるのは、こんな空の下でもサッカーをやるということだった。 「そろそろ練習やめた方がいいんじゃないか?雲行きが怪しくなってきた」 現在進行形で元ジェミニストームのメンバーのみで行っていた試合を大夢が中断した。確かに、一段とグレーが濃くなっているような気がする。多分、雨なんだろうな。そんなことを思った。 「仕方ないな。皆、引き上げるぞー」 全員に撤退の指示を出し、すみっこに置いてあったコーンとかボールの類を一気に片付ける。熱かった身体はどんどん冷えていき、園の中に入る頃にはぶるぶる震えていた。さすがにこの季節に半袖はナシだろう。 上からカーディガンを羽織ると、いくらかマシになった。女子たちは瞳子さんの手伝いでもしてるのかな、手伝った方がいいだろうか…。窓の外を見ると、雪が降っていた。どうやら雨雲ではなかったらしい。 「ただいまー」 「あー、ひでぇ目にあったぜ」 「傘を持っていないお前が悪い」 いつも通りの言い合いが聞こえてきて、玄関へ走る。高3組のお帰りだった。3人は今日も補習だったらしい。玲名あたりなんかは園で黙々と勉強しているんだけど。 「おかえりー」 「あ、緑川。ただいま」 俺が声をかければ、こうやってニッコリと応えてくれる。もうこんなことを毎日やってるもんだから、風介は晴矢をつつき、晴矢はため息をついた。ヒロト曰く、「目のやり場に困ってるんだよ」らしい。 「今日の晩メシ何だ?」 「あ、待って。今聞いてくる」 晴矢の質問で今が晩御飯前だったことを思い出し、台所へ向かった。 「瞳子さん、今日のご飯何?」 台所で女子たちと一緒にエプロンをして立っていた彼女は、見てごらんなさい、と目で合図した。それを見たらすぐにメニューがわかって、玄関で靴を脱いでいる彼らに報告。 「今日、ハンバーグだってさ!」 よっしゃ、と晴矢が小さくガッツポーズをした。 |