日だまりの中




あたたかな陽の当たる午後1時。俺はいつも通りお昼を食べてひなたぼっこしながら食休み。

だけど、今日は何か違う。

改めて自分の置かれている状況を確認してみる。
いつも通りお日様の当たる部屋でのんびりしている。それとほんの少しの眠気。そしていつも通り俺の膝の上に風丸の頭が…乗ってはいない。いつもなら。

お昼を食べた後、いつも通りこの部屋に来たら先客が。風丸だった。

『ここ、あったかくていいよな』
『ね。俺いつも眠くなる』
『俺も眠い…。なぁ緑川、膝貸してくれないか?』


そんな訳で座っている俺の膝の上に風丸の頭がある。いつものポニーテールを解いて、すっかり眠ってしまっていた。
男が男の膝枕で寝るってどうよ。何かおかしくないか。頭の中では十分、いや十二分につっこんだことである。

「ん…」

もぞ、と膝の上の頭が動く。とにかく起こさないように、俺もできるだけ大人しく。頭の動きに合わせて、長い髪も一緒に動く。それが顔にかかってしまっていたので、そっと掻き分ける。
長くて真っ直ぐな空色の髪。俺の猫っ毛とはだいぶ違うそれに、どれだけ憧れたことだろうか。そして海の色ともとれる髪の色は、そのまま彼の心を投影しているようで。

深く、深く。そしてどこまでも広く。彼はいつだって俺を包み込む。

(あ…)

閉じられたまぶたから覗くまつげは男のものとは思えないほど、長くて、ツヤツヤして。こいつ、女の子だったらかなりモテただろうな、とか思ってみたけど、やっぱり今の風丸が好きだからやめた。

「何じろじろ見てるんだ…?」

あ、起きた。
いつものしっかりした性格からは想像できないけれど、寝起きがかなり悪かったりする。それを知ったときはさすがに俺もびっくりした。

「いや、なんでもない」
「言えよ…。だったらキスするぞ」
「すみません、言います」

今の風丸には何されるかわからない。

「こんなに近くで風丸見られることあんまり無いから、見てた」

とりあえず正直に伝えておいた。それでもやっぱり眠そうな風丸、いつのまにか俺の手を取って、握ったりしている。
そして俺の手を自分の頬にあてがうと、もう一度目を閉じた。

「あったかいな…」

それはそれは幸せそうに言うものだから、見てるこちらは身体がなんだか熱くなる。
そういえば、俺たちがお互いに触れ合うのっていつからしてなかったっけ。風丸がこんなことしてくるあたり、かなりの期間だったんだろうなとか思ってみる。お互いに甘えて、触れ合うことは、俺だってしたかった。


ぼんやりした状態から覚醒して下を見ると、再び眠り始めた風丸の寝顔。俺の手はまだ彼の頬に触れていたし、彼の手はまだ俺の手に添えられていて、なんだかくすぐったい。

「おやすみ、風丸」

起きたらどうしようか、と内心焦りながらも、ふわりと風丸の額にキスを落とした。



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