寝ようと思ってベッドに潜り込むと、携帯のバイブ音が鳴り響いた。
円堂か?と思って携帯を開いてみると、差出人は緑川リュウジ。メールを開けば「明日、頑張って」と一言だけ書いてあった。
緑川らしいその一言に思わず微笑んでしまう。帰りのときの様子を考えてみれば、このメールを送るのにも苦労したのかな、とか思った。「ありがとう、頑張るよ」と返信し、すぐに眠りについた。


大会は、「全国大会出場」という結果で終わった。俺も個人戦で出場を果たしたわけだが、この結果をまず誰に報告しようか考えた。
まず、父さんと母さん。当たり前。そして円堂。幼なじみだし妥当な選択だろう。そして、緑川が頭に浮かんだ。メールで、応援してくれた。緑川にも報告しようか。緑川にメールすることを、頭に入れた。
文面はどうしようか。絵文字は入れるべきか、シンプルにいくべきか。悩みに悩んで、結局は「優勝したよ、メールありがとう」という緑川にも負けないくらいシンプルなものになった。あれだけ悩んだ俺の時間を返してくれと叫びたい。送ったらすぐに返事が返ってきた。

『よかった!おめでとう!』

シンプル、だが嬉しそうな文章だった。明日、学校へ行ったらもっと嬉しそうな彼が見られるのだろうか。そんなことを、思った。


翌日学校に着いた俺が見たものは、「陸上部 全国大会出場」と書いた垂れ幕だった。他の部活が全国へ出場した際にも見たし、自分の部が出たら…という憧れもあったが、実際自分の立場になってみると、照れくさいというか何というか、正直複雑だった。のんきなことに円堂は、

「サッカー部もいつか行ってみせる!」

とか隣で燃えていた。こりゃ今日のサッカー部の練習はキツいものになりそうだ。
そう思ったのはよしとしよう。だが1日1回必ずと言っていいほどすれ違ったり見かけたり話したりするサッカー部員を見ないのはどういうことだろうか。正直、かなりイライラしていた。休み時間にはヒロトや円堂のいるこの教室に1日1回は遊びに来るし、会話だってする。なのに、どうして来ないんだーー緑川。





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