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堕ちた光、至高の闇


 お茶を入れ、テーブルにつく。それから、漸く、リーファはシュウと目を合わせた。
 耳鳴りがするのは気のせいではないだろう。体が熱くなるのも、理由は分かっている。でも、理由は求めてなどいない。リーファは、平然を装い、見慣れた漆黒の双眼を見た。
 怒ってはいないようだった。驚いてもいないようだった。ただ、いつになく、シュウは、真面目な顔をしていた。
 暫く、そのまま時間は過ぎた。
「リーファ、どう思っている?」
 あの神の声ばかりを聞いていたからだろうか。いつも聞いている低い声は、酷く暖かかった。
「覇王は、バルベロが苦しむところしか……」
 リーファが最後まで言い終わるより前に、シュウが遮った。
「俺が訊いているのは、あの男の意見じゃない」
 シュウの口調はいつもと違う。
「俺は、ずっとあいつの狂った叫びを聞き続けてきた。お前も、分かってるだろ。あの女が……」
「バルベロは、最後までセフィリス・サラヴァンを愛していた」
 リーファは、間髪入れずに言った。すると、シュウは、何故か不快そうに表情を歪めた。
「それは事実だ」
 淡々とした声ではなかった。苛立つ感情を押さえつけたような声だった。
 何かを自分に求めているのだということは、リーファにも分かった。しかし、シュウが、リーファにどんな答えを求めているか、という最も重要なことは、分からなかった。




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