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堕ちた光、至高の闇


 パチパチという乾いた拍手。指の先まで洗練された美しさを持つ手で紡がれた拍手も、やはり硝子のようだった。
「見事だよ、セフィリス・サラヴァン」
 当然の如く、宝玉のような冷たい双眸は、リーファを見てはいない。
「あの男に、皆、騙されていたということかな」
 神は、美しく鮮やかな青なのに関わらず、色の無い目を僅かに天に向け、くすりと笑った。
「我々が、覇王と思い込み、バルベロを排そうとしているのを、笑って見ていたということかな」
 リーファは、ゆっくりと息を吐いた。
「でも、それは二の次だったね。セフィリス・サラヴァンは、バルベロしか見えていなかった」
 セフィリス・サラヴァンにとって、バルベロは第一だった。良い意味でも、悪い意味でも。
 リーファは、神に背を向け、踵を返そうとした。とりあおず、神の相手よりも、先にすべきことがある。
「帰るのかな?」
 後ろから降ってくるのは、鈴のような声。温かみは欠片も無い。
「明日出直す」
 リーファはそれだけ言うと、さっさと大聖堂を出た。
 リーファはシュウの方を見なかった。そのまま、真っ直ぐと部屋に戻った。



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テーマ「人外ファンタジー」
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