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階段の無い国


 町に着くまでに、三回ほど戦いがあった。勿論、それはリーファとシュウのものである。三回目に漸く、気に入らなければ言葉で言い合い、できる限り相互不干渉という条約が締結された。一応、二人とも二十越えの大人である。
 二人の食事は森の果実、魚、獣で済ませられていた。リーファは、魔法で獣を捕え、肉を切って小枝に刺して焼く。綺麗に剥ぎ取った皮は大きさを整えて、蔦でまとめておく。シャーナは、動物の死体や人間の死体を扱う仕事をする、と決められている。否、そのような人に忌まれる仕事をしていたからこそ、シャーナになった。よって、リーファは非常に手際が良かったし、剥がした皮は、おそらくシュウが売れば、結構高値で売れるであろう出来栄えだ。
 そういうわけで、二人はある意味利害が一致していたのである。
「それで、どうやって破壊する?」
 皮を背負いながら歩くリーファは、シュウに尋ねる。
「言ってるだろ。全員皆殺しが、手っ取り早いって」
「女子どもまで殺す気?」
 リーファは鋭く聞き返した。
「一番厄介なのは、女子どもだぜ」
 シュウの歌うように発せられたその言葉に、リーファは口を閉ざす。ご尤もだ。
「大体、シャーナの手前に説得力はねぇから」
「シュウは?」
「別に異人ってわけでもねぇけど、変な刻印はないぜ。まぁ、シャーナよりはずっと良いけどよ」
「悪かったね、シャーナで」
 リーファが睨み付けると、シュウは人の悪い笑みを浮かべた。



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