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シャーナの理由


 昔、それ程大きくも無い国にある村の一つに、小さな剣道場がありました。
 そこに、一人の少年と少女が通っていました。少年と少女は仲が良く、さらに、二人共、剣の腕が優秀でした。ですから、間も無く、少女は、聖騎士団に入り、少年は、地方領主の兵士となりました。
 少女は、生真面目で、少しずつ腕と地位を上げていきました。少年は、領主の下で、多方面に渡り素晴らしい才能を開花させ、気に入られ、養子になりました。
 少年は着々と知識と武術を学んでいきました。さらに、多くの国の言葉まで喋ることができるようになりました。その才能は、領主をも戦慄させる程のものでした。
 そして、少年は領主になりました。小さな国の領主でした。しかし、少年の才能は、小さな国であることを許しはしませんでした。少年は、手始めに自国に開放的な法を作りました。宗教の自由、職業選択の自由を認め、その代わりに、税を収めさせる法。そうすることにより発達してきた産業と、集まる信望を糧に、次々と他国を征服していきました。
 いつしか少年は覇王と呼ばれるまでになりました。それに激怒した神は、彼を敵と見なしました。そして、聖騎士団に命じたのです。神の敵、覇王を殺せ、と。
 しかし、覇王は殺されませんでした。それどころか、次々と他国を征服していき、とうとう、世界中の全てを自分の領土にしてしまったのです。




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