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シャーナの理由


「リーファ、明日玉座に行く」
 シュウの言葉を、リーファはお茶を飲みながら聞いていた。お茶なんて滅多に飲めない珍しい物だったため、そちらに気を取られ、危うく聞き逃しそうになったが、一応全て聞き取った。
「それで、君が恨んでいるのは、王なのかな、それとも、王宮そのもの?」
 一先ずお茶を置いて、そう尋ねると、シュウは不快そうに目を細めた。
「聞いても面白くないだろうな」
 吐き捨てるようだとは言えないが、それに近い言い方だった。機嫌を悪くしてしまった、とリーファは思ったが、シュウはすぐに口元に笑みを広げた。
「リーファ、いつかアーサー王伝説みたいな話が聞きたいって言っていたな」
 リーファを見ない黒い双眸は、鮮やかなシャンデリアに向けられている。暖かい光を見上げ、ただその双眸には、優しさなど微塵も含まれていない。
「面白い話を知ってるぜ。きっと、こっちの方が、お前は好きだろうな」
 シュウの口元が、ぐにゃりと歪んだ。自嘲のような笑みだった。




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