3

シャーナの理由


「お聞きしたいことがありまして」
 ヴァルシアはさらりと言った。恐れも緊張も無いが、間が抜けているような声ではない。
「あの女魔術師、何者ですか?」
 シュウは、少し考えると、言った。
「共犯者。雇った、というような感覚だな。色々と勘違いしてくれた見てーだけど」
 シュウとリーファは、同室にされるような仲ではない。確かに、リーファだけを連れてきたところに問題はある。
 ヴァルシアは知らないのだ。リーファとシュウは、ビアンカやミューシアとわいわいやって来たということを。
「いやいや、すみません。兄上。てっきり、兄上の女かと……中々に素晴らしい趣味をお持ちだと感心しておりました」
「黙れ、ヴァルシア。斬るぞ」
 失礼にも程がある、とシュウは思った。勿論、自分に対してだ。
「いや、素敵な女性だと思いますよ」
 笑いながら言っている時点で、既に説得力のせの字もない。
 にこにこと笑うヴァルシアに、シュウは溜息を吐いた。
「そこまで女に不自由はしていねーから」
 そして、悲しいことに、ここにいないとある人間に対して、散々失礼なことを言っていることに、男二人は気付いていなかった。




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