牢獄(シュウ視点)
外伝
強がっているわけではないだろうし、心底迷惑を掛けたくないと思っているわけでもないだろう。
それでも、何も言われなかったのは、腹が立つ。
俺に弱みを見せたら、殺されるとでも思っているのだろうか。
そんなことはありえない。この女は、まるで緊張感がないのだ。
では、こんなことぐらい当たり前だと思っているのだろうか。シャーナということを、心の底では受け入れているのだろうか。
俺は、目の前で眠る女を見た。
そっと壁に立てかけたはいいが、背中が一番火傷が酷いのだ。流石に、それでは体も痛んでいるだろう。
「本当に、目ぇ覚ましたら、ただじゃ済ませねーからな」
俺は、慎重に女を自分の方へ引き寄せた。特別小柄でもなく、特別体が大きいわけでもない、普通の体。ただ、妙に温かい。
鈍いわけではないし、傲慢不遜でもない。だからこそ、目覚めた時の慌てようを想像して、俺はにやりと笑う。