偉大なる神への反逆の後(シュウ視点)
外伝
短気な奴だと思ったら、意外と気は長い。
変な子どもを拾って、同情したのかは分からないが、安易に信用しすぎだ。さらに、裏切られようと、屈しない。
健気なところはあるし、優しくないわけでもない。小さなドラゴンを気遣い、可愛がる女っぽい部分もある。
とびきり無愛想で、好戦的というわけではなく、やってきた天使殿とも、仲良くやっていたようだった。
しかし、自分が血と香水の匂いを漂わせて帰ってきても、奴は何も言わない。何故だ。気付かないふりをする人間には見えない。
女遊びに、血の臭い。最初はあんなに食いついてきたのに関わらず、今は何も言わない。興味がないのだろうか。
それとも、健気で優しい一面をを持ちながら、正義感は欠片も持っていないのだろうか。自分の見えないところであれば、何が起こっても良いと思っているのだろうか。
一緒にいる時間が長ければ長いほど、掴み所のない奴に思えてくる。
一体、奴は何をしたいのだろうか。奴の怒る基準は何なのだろうか。
俺は、下を見た。
漆黒の夜の森の中、ドラゴンの子どもと一緒に眠る女は、何故なのか幸せそうな寝顔をしていた。