リーファに出会う前のシュウ
外伝
背中を深く斬られた女の周囲には、赤黒い血が広がっている。俺は、返り血のついた着物のまま、血溜まりに座り込む。
一体何人目だろうか。
何の関係もない人間を斬るのは快感だ。ただ、少しでも時を過ごした奴を斬るのは、気持ちの良いものではない。
「いつ自分が殺されるか恐ろしいだって?」
俺は嘲笑する。
「俺が一度でもお前に手を出したことがあったか?」
俺は、いつだって優しく接してきたはずだ。剣で脅すことはあったとしても、傷つけたことはなかった。
「愚かな女だ」
裏切ったお前が悪い。ただ、俺に着いてくるだけで、お前は死ななかったのに。