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レンシス大聖堂


 静寂に包まれた大きな礼拝所。異国風の軽装という合わないにも程がある服装の男は、大きなアーチの前で言った。
「リーファ、この中で血が流れることはねーはずだ。後で迎えに来る。手前が必要なのは、その後だ」
 リーファは、是非ともついて行きたいところだったが(何をやらかすか不安で仕方がない)、何か意図があるのだろう、と思い、承諾した。
「ハーザス、いるだろ。こいつが飽きねーように、何かやってくれ」
 シュウは、祭壇の隣の通路に向かって、それだけ言うと、立派なアーチを潜ってさっさと先に行ってしまった。
 取り残されたリーファは、通路の方へ顔を向けた。すると、通路の方から衣のずれる音がした。
「こんにちは、あなたのお名前は?」
 廊下から出てきたのは、聖職者だった。おそらく、レンシスであるだろう優男は、ふわりと微笑んでいた。
「リーファです」
 リーファがそう答えると、男は穏やかな声で言った。
「世界、ですか。良い名ですね」
 リーファは、男について尋ねようと思ったが、どうでも良いのでやめておいた。シュウに任されているということは、一応信頼はできる。それだけで十分だった。
 リーファは、それよりも、天井や壁に描かれた絵の方が気になっていた。
「美しいですね。ここには、何が描かれているのですか?」
 多くの人々や天使や神が描かれた絵画。それらは、まるで物語のように連なり、礼拝所を覆っていた。



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