4

天使の宴


 燻る朝陽に目を覚ませば、リーファの目の前には、怪訝そうに目を細めたシュウが立っていた。
「手前ら、三人で何しやがってんだ?」
 それは、彼にしては、非常に自然な質問だった。
 確かに、朝帰ってくると、仲間三人川の字で寝ていたら、普通は、驚くだろう。
 リーファは、眠り続ける二人を、横目でちらりと盗み見た。
 ビアンカとミューシアは、くっついてすやすやと寝ていた。起きている時はあんなに仲が悪いのに、と思うと、自然と笑みが零れるものだ。
「幼女趣味」
 ぼそりとシュウが呟いた。
「朝帰りには言われたくないと思うよ」
 リーファはさらりと言い返した。シュウは、居心地悪そうに目を細めた。
「今日中に森を出る」
 シュウは、まるで、話から逃れるかの如く、そう言った。
「了解。天使が襲ってくるって言うから、早めに出よう」
 そう言って、リーファは藍色の衣を羽織った。向かう先は首都、王宮。王への直接談判。詳しくは分からないが、シュウの指示に従うことにしよう、とリーファは考えていた。
 夜明けは淡い。
 刀を背負い、薄らと笑みを浮かべる男に、ついていこうと一歩踏み出した時、リーファは服の裾が何かに引っ張られるのを感じた。
「逃がさないよ」
「逃がしませんよ」
 可愛らしい笑顔と、麗しき笑顔。毛布からちょっこり出ている笑顔に、リーファは思わず顔を引き攣らせた。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -