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群青の花嫁
夜明け頃になって、リーファはシュウと合流した。森の中で、無事にミューシアとビアンカに合流できたため、そのまま空を飛べる二人に連れられて、隣町へ移動したのだ。
森の中で、二人を寝かした後、リーファとシュウは、町の片隅のカフェでお茶を飲んでいた。まだまだ空は薄明かりに包まれている。
「リーファ、花嫁の持参金は知っているよな」
女性のことを尋ねると、シュウはそう言った。
「悪いね」
リーファは、ゆっくりと息を吐いた。
十三歳で牢に入ったのだ。教養は勿論のこと、世間の一般常識さえも、まだまだ不十分なのだ。
シュウは、そんなリーファに、目を細めていたが、何も言わずに説明した。
「この国では、娘を高い身分の家に嫁がせるのが、父親の役目だといわれている。男の家は、持参金だけでも、相当な物だが、大抵、無事に持参金を用意しても、嫁の家に次から次へと金を要求するのが一般的だ」
シュウは淡々と説明をした。
「そして、もしできなかったら、その嫁は、殺されてしまうというわけだ」
リーファは、ありがとう、と礼を言った。あの女性は、殺されそうになっていたのだろう。それを、シュウが目ざとく見つけた。
「まぁ、手前は持参金云々以前に、性格に問題があるから、安心しろ」
リーファの表情に、シュウはにやりと人の悪い笑みを浮かべたが、リーファは全く別のことを考えていた。それは、迷宮にあるこの男の考えと目的。シュウという人間の行動基準だった。