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鎖を引き摺る兄弟へ


「ヴァルシア、ヴァルシア」
 少年は初めての友達が弟だと分かった時、いても立ってもいられなかった。
「僕の母は王妃様だって。僕はヴァルシアのお兄ちゃんだって」
 だから、これならはもっと仲良くしようね、という気持ちを込めてそう言った。嬉しかったのだ。母以外に家族がいて、それが大好きな友達だったのが、ウェルティアはとても嬉しかった。

「ヴァルシア、素晴らしい。その年で政敵を排除するとは。流石私の息子だ」
 汚れた母、母を汚した父、裏切り者の弟。その全てが憎たらしかった。少年はそれを知っていた。女騎士の記憶を持った少年は、彼女の記憶と目の前の母親を重ね、自分が何者であるのかが分からなくなってしまった。
「全ては覇王のせいなんだよ、ウェルティア」
 覇王に為す術もなかった女騎士も、全ての元凶の覇王も恨んでいた。そして、自分の憎悪を掻き立てる神をも恨んだ。
 彼は利用され、嫉妬され、恨まれ、苦しむ価値を持った人間だったのだ。


 リーファに兄がいたと言うことはシュウにとっては意外なことだった。世話を焼くのが好きなリーファは四人兄妹の末っ子という事実と繋がらない。シュウは尋ねた。
「お前は兄貴と仲が良かったのか?」
 リーファはそうだねぇ、と言って笑った。リーファは出会った時頃こそ感情的になることもあったが、基本的には落ち着いた性格で、微笑を浮かべることが多い。
「うん、よく面倒を見てくれた。勿論、兄妹だから腹が立つこともあったけどね」
 リーファは穏やかに笑った。
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