6

鎖を引き摺る兄弟へ


 夜の森は静かだった。静かであるということは、墮天使とドラゴンは寝ているということである。
 リーファとシュウは二人で火を囲んでいた。
「そういえば手前は親とかいねぇのか?」
 シュウが唐突にそう尋ねた。リーファは驚いてシュウの顔を見た。今さらな質問である。
「物心ついた頃には死んでいたよ。兄が四人いたけど、投獄される前にみんな死んじゃった」
 リーファはそう答えると、シュウの表情を窺ったが、そうか、とシュウは興味なさそうに呟いただけだった。リーファはそんなシュウの顔色を確認した後、気になっていたことを尋ねることに決めた。
「ねぇ、シュウは故王妃のことを覚えているよね」
 そう尋ねてすぐに顔色を見る。シュウは顔色一つ変えずに炎を見ていた。
「大嫌いだったがな。虎視眈々とあいつを消そうと思っていた」
 吐き捨てるような回答を予想通りだと思いながら、リーファはもう一つ用意していた質問を尋ねる。
「あんたをシュウと名付けたのは?」
「あいつだな」
 即答だった。シュウはさらに続けた。
「比較の問題だ。もう一つの選択肢があの名前だったからな。元々の名前は臆病者の狐爺の名前からとっているんだぜ?」
 臆病者の狐爺が国王であると言うことは明白だった。
「弟も嫌いなんだよね。誰が一番嫌い?」
 しかし、リーファは彼が王妃や国王よりも、弟を嫌っているように思えた。
「最低な奴等に順位なんてつけられねぇよ。考えるだけでも吐き気がする」
 ああ、だからこの人は王家が嫌いなのだ、とリーファは思った。
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