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美しい町


 リーファは説明を始めた。シュウを馬鹿にする素振りもなく、ただ淡々と話し始めた。
「簡単に言うと、この国は貧富の差が大きい。この国には飢えた子どもがたくさんいる」
 貧富の差の大きい国は、国民の多数が飢えている。普通に生活をしている国民の数が極端に少なくなるのだ。
「一人にあげれば、全員が欲しがるだろう。私たちのお金は尽きてしまうよ」
 何せ命が懸かっているのだ。相手のことを顧みることなどできるはずがない。
「彼らは生きるために必死だ。何だってやる。生死がかかっている人間を甘く見てはいけない」
 リーファは説明し終えると、シュウの表情を窺った。
「それを先に言え。手前は言葉が少なすぎる。面倒臭がらずに言えよ」
 シュウは、面倒臭えことになっただろ、と言わんばかりである。リーファはシュウの言葉を否定することはなかった。シュウのあっさりとした反応に、一瞬呆気にとられたような表情を浮かべたが、すぐに元に戻る。
「そうかもしれないね」
 ただそう言って、この人には王子は似合わないな、と思いながら微笑んでいた。バルベロにしろ、シュウにしろ、支配者となるには優しすぎる。優しすぎる支配者は、自身と民の両方を不幸にする。
 だから、セフィリス・サラヴァンとバルベロは十分に話し合う必要があった。覇王の考えは、騎士には理解が出来なかった。それは当然のことだった。生まれながらの支配者の心を持つ者しか、口数少ない覇王の考えを理解することはできない。
 しかし、きちんと丁寧に説明をすれば、同じ考えを持たなくても、納得して貰える。リーファはそのことに漸く気付いた。リーファが思っていた程、シュウは頑固では無い。
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