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女魔術師と剣士
リーファは、船に乗っていた。一人で、船のデッキで離れていく神聖レンシス王国を見ていた。無事港まで辿り着いた一行は、シュウに船のチケットを貰った。
シュウがどのようにして、それを手に入れたのかは、誰も聞かない。ただ、シュウは、ちょっと近くの農民から、野菜を買ってきました、というような感じで戻ってきた。だからこそ、聞いてはいけないのである。
農民から、野菜を買ってきました、というような雰囲気で、人を脅して買ってきました、と言われては、衝撃も大きい。大体、微妙な血の臭いのせいで、現実味は増しているのだ。
ミューシアでさえ、それを悟っているのだ。悟らせている方もどうかと思うが、それがシュウという男なのである。
リーファは、小さくなっていく陸地を見て、溜息を吐いた。
「本当に、どうすれば良いんだろうね」
リーファには、シュウの考えていることは、全く分からなかった。
そして、いつもなら上手に収めることができるのに関わらず、未だに謝ることすらできていない自分も、よく分からなかった。
リーファは、女性でありながら、思考の一部は男性的だった。そして、シュウは、男性でありながら、思考の一部は女性的だった。そのせいで、二人は、お互いの考えていることがほとんど理解できなかった。