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五里霧中


 女、ルフィーナは、それから一度実家に帰ったが、何しろ結婚相手から逃げ帰ってきたため、居場所はあるはずもなかった。しかし、この町で居場所を見つけたらしく、楽しく暮らしているらしい。
「それで、リーファとは何かありましたか?」
 一時間ぐらいで歩けるぐらいになるのは、やはり神の手が加えられていないからだろう。シュウは、簡単に礼を述べて、野宿場所に戻ろうとした時、ルフィーナはそう尋ねた。
 シュウは何も無い、と短く答えた。
「何もないというのなら、まだまだですね」
 ルフィーナは、シュウの背中に向かってそう言った。
「彼女は気難しいですから」
 くすりと笑ったルフィーナ。シュウは、振り返ったが、ルフィーナについて深くは追求しなかった。だから、リーファの抱えているものだけではなく、ルフィーナがシュウに意図して隠していたことまで、知ることができなかった。
 この王国で、離婚した女の行くべき場所など、あるはずも無いことは、少し考えれば分かるはずだったのに。

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