7

階段の無い国


 ミュウも、リーファに着いてきた。そして、リーファが事情を話すと、目を丸くした。
「へぇー、お姉ちゃんたちドラゴン倒しに来たの?」
 そうだよ、とリーファが微笑むと、ミュウはうーんと唸った。
「ほへー、それは大変だねー」
 異様な程にのんびりとした言葉だった。まるで、意識が他に奪われ、疎かにされたような言葉。
 そして、その言葉の直後、空気がいきなり収束した。
 炎。リーファで直感的にそう感じた。
「ヘスティー・アレア(戦いの炎)」
 ミュウの魔法の詠唱だ。
「二ュクシア・メディス(闇夜の水)」
 相殺した。
 リーファはそう確信し、安心しかけた。しかし、直後、銀が光る。
 ミュウが殺される。
 リーファは目を細める。
「エウリーナ・アルテミー(光明の輝き)」
 第二の魔術を、勘を頼りに叩きつける。それによって、吹き飛ばされたのは、小さな青いドラゴンと、着物姿の男。
「おい、手前っ」
「何か文句があるなら何なりと」
 すぐに起き上がる男に安心しつつ、リーファは歩いて、地べたに寝そべる小さなドラゴンの方へ近づいた。
「私は、事情ぐらいは聞く」
 小さな顔を上げたドラゴンの青い目が、リーファの方へ向けられた。



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