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五里霧中


 シュウが目を覚ましたのは、小さな民家の中だった。気を失ったあと、町の人に介抱して貰えたらしい。
「目が覚めましたか」
 慌てて体を起こすと、木のテーブルの横に、いつか助けた女がいた。
「二度もお会いできるとは思ってもいませんでした。先日は、ありがとうございました」
 女は、水はどうですか、と言って、シュウのいるベッドの横の小机に水を置く。シュウが礼を述べると、女はくすりと笑った。
「お一人ですか?」
 シュウは、その女がリーファの知り合いだ、と言っていたことを思い出した。
「近くにいる」
 シュウはそれだけ言って、立ち上がろうとするが、体に激痛が走る。大怪我なんですから、と女に言われ、そのままの体勢で我慢する。
「リーファは、元気ですか?」
 女に笑顔を向けられた時、そういえば最近、リーファはあまり笑わなくなったな、とシュウは思った。
「元気だ」
 答えるまでの僅かな間が空いた。僅かに曇る女の表情を見て、即答すれば良かった、シュウは思った。

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