5
ドラゴンと天使
リーファの予想通り、ビアンカもミューシアも無事だった。
「やっぱり、リーファは変だし、シュウも変」
ドラゴンと堕天使は、ふわふわというには少し速めの速度で空中を旋回していた。
「今頃気付きましたか」
ビアンカは、呆れたように言った。
因みに、シンラはというと、先程二人で天まで吹き飛ばしたところである。勿論、「ただ」で吹き飛ばしたわけではない。
「何か隠してるよね。それも、私に関係してる」
ミューシアの表情に影が入る。それを見ていたビアンカは少し間を置いて、と言うよりも、僅かに戸惑うような表情を見せてから、言い難そうに言った。
「……気にしなくて良いんじゃないんですか?」
何となく声が上滑りだ。ビアンカは、自分の声にひやりとしたが、心配は無用だった。
相手はビアンカの想像を遥かに超越したところにいた。
「でも、リーファとシュウのことだよ」
きょとんと首を傾げる。
「どうしたの?」
ドラゴンの姿でも、大きな青い瞳は変わらない。
頑張って慰めようとしたのに、というやり切れない思いに駆られたビアンカは、泣きたい気持ちを必死に抑えた。