6

階段の無い国


 とりあえず、リーファは取ってあった果物を少女の口の中に押し込んだ。
 少女は少し元気になったのか、混じりけのない幼い笑顔を浮かべて、こう言った。
「ありがとー、お姉ちゃん。でも、ミュウは肉の方が好きなのー」
 ごめんね、と素直に謝るリーファと対照的に、シュウは、心からどうでも良いといった態度だ。おそらく、シュウも花には興味がないだろうが(あっても困る)、少女ではなく、花の方を見ている。それだけ、どうでも良いといった様子だった。
「えーっと、君は人間じゃないよね。精霊みたいな感じ?」
 リーファが尋ねると、少女は、青い瞳を細めて笑った。
「そんな感じなのー。名前はミュウって言うのー。お姉ちゃんと、目つきの悪いお兄ちゃんは?」
「私がリーファで、そっちの男がシュウ」
 きょとんと首を傾げる少女に、リーファはそう紹介した。因みに、シュウは欠伸まで始めている。
「シュウ、女の子だよ」
「流石に、餓鬼は守備範囲外だぜ」
 ふらりと紅い着物を揺らし、シュウは立ち上がる。
「リーファ、さっさと行こうぜ」
 その態度に、リーファは目を細めた。



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