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ドラゴンと天使


 隣国に焼畑農業なる物があるらしいが、リーファたちは農業をしようなどと思っていたわけではない。しかし、森は焼けていた。
 リーファは、ビアンカの魔術炸裂よりも先に、強力な魔術を使って、自分とミューシアと、それから余裕があったのでシュウも守った。
「何故、こんなに天使らしからぬ奴ばかりが集まる?」
 衝撃の所為で地面に転がっていたシュウが、立ち上がって、尤もなことを言った。
「天使らしい奴は、好んでビアンカ様に近寄ったりしないぞ」
 藤色の翼の天使は、シュウに向かって、にっこりと笑った。その言葉には、リーファだけではなく、シュウまでもが納得したようだった。
 確かに、肉は食べる、任務は果たさない、魔術は使う、おまけに短気な同族に、近づこうとする天使はなかなかいないだろう。リーファは、この時点で、藤色の翼の天使が、相当厄介な性格をしていると考えられたので、思わず溜息を吐きたくなった。
「それで、こいつがお前が懸想……」
「あれ? シンラ、どうしました?」
 ビアンカが輝かんばかりの笑顔で、魔術で生み出した黄金の剣をシンラと呼ばれた天使の首元に向けた。
「堕天使はドラゴンを庇い、神の怒りを買って、堕天したらしいぜ」
 突然耳元で囁かれたのは、低い男の声。予想外のことで、間抜けな声を上げてしまいそうになったのを、リーファはギリギリのところで抑えた。ふと、隣を見ると、いつの間にか、シュウが座っていた。顔には呆れたような表情が浮かんでおり、他意は無いらしい。
「それで、この状態?」
 一瞬頭を過ぎった考えが、何だか腹立たしかったので、リーファは淡々と聞き返した。すると、シュウは、欠伸をしながら、頷いた。

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