7

バルベロとエレカ


 シュウははっきりと言い切れる。
 男の愛している、という言葉ほど、信用できない物は無い、と。だから、シュウも、絶対にその言葉は使わないことにしている。それ以前に、使う相手もいなかったのだが。
「漸く寝ましたね」
 シュウとビアンカは、二人で木の上に登り、リーファが寝付くまでを見ていたのだが、途中、シュウの意識は遠のきかけた。頭痛と吐き気がした。シュウは、慎重に体勢を変えて、木の幹に凭れ掛かった。
「どうしたんですか? さっきからぼけっと。大体、あなた、最近おかしいですよ。唯でさえ、おかしいんですから、これ以上おかしくならないで下さい。手に負えません」
 無茶苦茶だ。知らないからと言って、これはないだろう、とシュウは思った。おかしいのは、リーファだ、と言いたかったが、この前の失言もあったため、何とか抑えた。
「嫌な夢を見たことを思い出していた」
 シュウはそう言った。すると、隣でビアンカが彼是言い始めたが、シュウは聞かなかった。一々反応しているのも面倒だったからだ。
 リーファは、ビアンカに覇王の生まれ変わりであることを知られたくないだろう、とシュウは思っていた。それならは、何も言わずに、自分が覇王の生まれ変わりだと思い込ませていれば良い話だ。
 しかし、このままにしておいてはいけない。いつかは、つまり、リーファが話せるようになったら、しっかりと話をするべきだ。そのためには、何とか自分が誘導しなくてはいけない、とシュウは思っていた。

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