5

バルベロとエレカ


 てきぱきとリーファが猪肉を用意すると、ミューシアは涙目になっていた。余程ひもじい思いをしていたらしい。血塗れになった手を洗い、リーファも食事を取った。
 その時から、体はやけに重かった。精神的にも疲れていた。そして、重くてどす黒い感情が、体中をぐるぐると回りだす。食事の後、リーファは、薪を片付けながら、気を逸らせようと漆黒の天を仰いだ。
 二の舞は踏みたくない。そう思った時だった。
「片付けはしておくから、手前は寝ろ」
 後ろから掛かってきた低い声は、振り返らずともすぐに分かる。
 リーファはシュウの方を見ないようにしながら、頷いた。そして、眠っているミューシアの隣に体を倒す。
 ああ、結局、お礼も言えなかったし、謝ることもできなかった、と思うと、疲れていたはずなのに、なかなか寝付けなかった。薪を片付ける静かな音が消えても、頭は冴えていた。
 リーファは、魔術の明かりを頼りにして、隣で眠るミューシアを見た。
 鮮やかな鱗を輝かせるドラゴン。その姿を思い浮かべた時、リーファはふとあることに気付いた。ミューシアの衣を少しだけ剥ぎ、証拠を探す。
 それは、すぐに見つかった。
 白い肩に刻まれるのは、生命を司る刻印。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -