高校3年の冬

俺は進路の為に少し遠い所へ行く事になった

栄口はその事をもちろん知っているが今後の事をまだふたりで話して居なかった

それを今日、決心を付けて切り出す事を決めた


「栄口、話があるんだけど」

「何ですか?」

「俺、暫く栄口と会えなくなる・・その事に付いてなんだけど」

本音をすぐに言いたくなるのをぐっと押さえる

「少なくとも3年は待たせる事になるから・・その、待たなくても良いよ」


本当は待っていて欲しい

だけどそれは俺の我が儘だから

最後くらい迷惑掛けずに終わりたい


「じゃあ待ちません」

「・・・うん」

「って言ったらどうしますか?」


待たない

その言葉を聞いて覚悟は決めていたはずなのにすごく悲しい

悲しみに再び入ってきた言葉に耳を疑った

「・・え?」

「俺が待たないって言ったら大人しく引き下がるんですか?」

「そのつもりだよ」

「そんな慎吾さん嫌です」

言葉を整理した

つまりは大人しく引き下がる俺よりも我が儘言ってでも自分の思いを出す方が俺らしいと言うことだろうか


「じゃあどうすれば良いんだよ、」

「俺は待ちます・・3年経とうが5年経とうが何年経とうが・・・いつまでも待ってます」

その声が凄く優しくて

「だからいつも通りでいてください」


今まで悩んでた自分が馬鹿らしく思えてきたのと同時に涙が頬を伝った



しいからこそ涙。

(ありがとう。)


*end*



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