「みょうじさーん!」
「・・・・先、輩?」

委員会が無事終わり、ゲームをしながら自宅へと歩いていたら、黒髪の、委員会で、確か・・・・よく発言してた人が、私の名を呼んでいる。何で名前、知ってるんだ?
立ち止まれば、よかったあ間に合ってと少し笑って何かを差し出した。

「これ、忘れ物!」
「!あ・・・」

・・・・ノートだ。全然気がつかなかった。・・・そっか、ノートの表紙の名前で・・・だから私の名前わかったんだ

「わざわざありがとうございます」
「いやいや。・・・・あれ、そ、それってもしかしてFG!?」
「・・・は、い。」

瞳を輝やかせながら身を乗り出す先輩は、なんだか少しだけ幼くに見えた。・・・・近い。近いよ。まぁ学校にゲーム持ってたりして生意気な奴だなとか言われるよりは全然マシだけど。

「わー!しかもこの前発売した奴でしょ!?俺も今日買いに行くんだーどう!?面白い?」
「面白いですよ。前作も面白かったですけど今作の方がもっと話のストーリーが個人的にいいと思います。」
「そっかあー・・・あ、なんかいきなりごめんね。俺、二年の小金井。」

小金井、先輩かあ・・・・なんだか、猫みたいだなあ。こう、頭を撫でたくなるような小動物的な・・・・いやでもなんか違う、か・・・・

「一年の、みょうじ、です。改め、まして・・・・あの、本当にありがとうございました」
「ううん、新作のFGの感想聞けたしラッキーだったよ。あ、みょうじさんって家、どっち方面?」
「北川公園の方、です」
「あ、俺もなんだ。ねぇ、FGのキャラの中で誰が好き?」
「ユーリアが好きです。」
「あ、俺も結構ユーリア好きー」

小金井先輩はとても話しやすくて、ニコニコしてるからか、なんだかとても落ち着いて話せた。・・・・同級生、みたいだ。

「先輩ってテニス部だったんですねー」
「うん、みょうじさんは何部なの?」
「バスケ部です」
「あー、うちのバスケ部強いよねーたしか去年は決勝までいったんだっけ。すごい気合い入ってるよねー外周してたりしてんのよく見るよ」
「ハイ、先輩が言ってました。・・・・練習は、キツイですけど、でも先輩達はすごく優しいですし、楽しいです。・・・私、幼なじみがいるんですけど、その幼なじみがすごくバスケ馬鹿で・・・」

そうやって話しながら、幼なじみの一人を思い浮かべ、昔の記憶を辿れば、やっぱりいつも彼の近くにはボールがあった。・・・本当に、昔からバスケ馬鹿だなぁ。

「へー幼なじみって同中なの?」
「いえ、違います。帝光中に行きました。・・・そいつと、一緒にバスケしてたら、いつのまにか私もバスケ好きになってました。まぁ、そいつには負けますけどね。すごいんですよ!三歳の頃には大人に混じりなからバスケしてて、」
「うっわあーすっごい好きなんだねー・・・」
「ハイ、もう本当に色んな意味で馬鹿なんですよ。この前のテスト、アイツ数学二点だったらしくて!」
「二点!?」

目を見開いて小金井先輩は聞き返した。まぁそりゃあそうだよね。ちなみに百点満点中です、と付け加えて言ったらあはは・・・と渇いた笑いが返ってきた。

「もう一人、幼なじみがいるんですけど、その子も帝光中で、やっぱり大変みたいです。子守りが。帝光行かなくてよかったなーって本当に思います。・・・まぁ、行ったとしても私の場合、面倒は見ないと思いますけど・・・」
「そうかな?俺、みょうじさん、世話焼きだと思うんだけどなー、ほら、委員会でもよくフォローしてるじゃん?きっと何だかんだいって世話焼いちゃうんじゃないかな」
「・・・・そう、ですか?」
「うん、先輩達の間でみょうじさん結構評判いいよー。アイツよくやってくれるよなーって」
「・・・・・・そうなん、ですか・・・」

・・・・なんだか、照れる。・・・・嬉しいなぁ・・・・

「あ、俺右何だけど、みょうじさん、どっち?」
「私も、右です。・・・このあと、パン屋の角曲がった所です。」
「俺はその先の郵便局の手前ー」「あー、あそこですか」

別れ道があったので小金井先輩が気を使ってどっちなのか聞いて、私も右だと答えてどこまで一緒なのか知りたかったから、自分の家を教えた。

・・・・・話したの、今日が初めてなのに、まだ話していたいだなんて変かな。・・・・いや、変だよなぁ。

「あそこパン屋さーカレーパンおいしいよね」
「わかります。具がゴロゴロしてていいですよね」

ニコニコと無邪気に笑うこの人をまだ見ていたいだなんて、変だななんてわかってて、
だけどそれがどんな意味を示していて、自分の気持ちが、今日話したばかりの先輩に傾いている事なんて、

私は、知らなかったんだ。


淡い甘い病

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中学で帰りにゲームする比較的真面目?なバスケ部員・・・・うん、矛盾してるよなぁ・・・・←
ちなみにtitleはお題サイト様からお借りしました。

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