「・・・・・・・・・・ハリー?」
「!なまえ・・・・どうしたの?」
「図書館で本を返していたの。
まだ学校残ってたんだ?どうしたの?・・・・それ、ダドリーの?」

いや、十中八九、ダドリーの宿題だろう。ちらりとプリントを見ればダドリーという名前と、それからダドリーの子分、基友達の名前が書いてあり、頷くハリーを見てやはりまたかと溜息が零れた。そろそろ先生も感づいてきたし、字でバレるだろ。この際ダドリー達は怒られた方がいいと思うからダドリー達への口出しは止めとこうか。とりあえず、

「手伝うよ」
「えっそんな、二回も悪いよ!」
「いいよ。私この後とくに予定ないし。」

ハリーの隣に座ればごめんありがとうと返ってきた・・・気にしなくていいのに

「えーと・・・・、図形か。うっわコンパス使ってない。」

ダドリーのなんかとくにそうだ。全部ぐちゃぐちゃで字も汚い。少しやりかけている宿題を見てみると円がぐにゃりと不規則に曲がっていた。

「あー・・・、問題文がこれじゃあ教科書もう一回見直さなきゃ。ハリーはそっち片付けてくれる?私はこっちやるから」
「うん。わかった」

それを合図に、しーんとした空気が流れ、教室内に響くのは紙にシャーペンを走らせる音ぐらい。・・・よくよく考えたら、ダドリー達は先生に怒られたら怒られたでハリーに八つ当たりするんじゃなかろうか。どっちにしても、私がダドリー達に止めろと言っても変なプライドが傷ついたとかで怒りの矛先がハリーに向かうかもしれない。今までのダドリーを考えると十分有り得る話だ。・・・だが、どっちにしろこのままハリーを放って置く訳にもいかない。それなら、せめて早くこの宿題をハリーが終わらさせることができたらいいと思う。本当に苦労人だよなぁ・・・・・・、ちらりと横顔を盗み見た。

「・・・・・・・」


───彼は、所謂物語のヒーローだ。


こんなダドリーのいびりなんかよりもっと大きな問題に直面して、きっと幾つもの困難を乗り越えていくんだろう。・・・・わかってる。私はきっと彼と同じ学校に行くことぐらい、わかってるよ。だけど、認めたくないんだ。怖い。どうしようもない不安が、私を襲う。彼が、こんなに近くにいるハリーが、沢山の危険な道を通って、私からいつの間にか離れていく。・・・・その時、私は何もできない。


「・・・・・なまえ?どうしたの?」

・・・・・本当、将来有望な顔してるよなぁ。


「・・・・・・・聞いてる?」


きっと可愛い彼女なんかできちゃったりするんだよなぁ。どんな子なんだろう。


「大丈夫?おーい」


あぁ、そういえば昔、あっちで映画の番宣のCMでハリーがちゅーしてるシーンがあった気がするなぁ・・・・私を呼び掛け、首を傾げる姿は何だかわんこのように見えてきた。

・・・・彼と私は、いつまで友達でいられるのかな?


「・・・・・聞こえてるよ。どうしたの?」
「!もう、びっくりした。答えてくれないから・・・・・・」
「ごめん。あ、終わった?」
「いや、わからない所があって・・・」
「どこ?問二とか?」


大人になったら、

お互いに笑い合っていられるだろうか


大人なったら、

貴方の周りにいる、親友や恋人。
大切な人達の中に、私は────、



Your World
(貴方の未来に、私は、)

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