彼女との出会いは、ある意味衝撃だった。
「・・・・・まだこの町に来たばかりで、慣れない事もたくさんあるけどよろしく」
ペコリと下げた彼女とダドリーを見れば、その他子分に似たお友達とニヤニヤしていたので、僕はその時、彼女も彼のからかいの対象に抜擢されたのだろう、と同情した。第一印象は影が薄い子。だけど、漆黒の黒い髪が、とても綺麗だったのが印象的だった。
「・・・・・・・・・・」
ダドリー軍団の虐めは次の日から始まった。
*************
「何読んでんだよ!ダサ眼鏡!」
「推理小説だよ」
「うっわやっべ喋ったよコイツー」
「・・・・・・・・」
「おい!」
「なんとか言えよ!」
ダドリーの子分が彼女が読んでいた本を取り上げる。
「・・・ごめん、なんか、言いたい事私にあるの?本題は何?」
「!」
「なっ」
ケロリとした顔で言う彼女に、びっくりした。そして、ダドリー達の顔に危うく噴きそうになった。尚も今彼女はダドリー達の言葉を待っているのが印象的で、なんだか目が離せなかったんだ。
「・・・・っうるさい!」
そう言って、ダドリーは彼女の眼鏡を取り上げた
「!」
───あ、やばい。
そう思った時には体が勝手に動いていた。
────バシッ!!
「!?・・・ぇ、」
「・・・・・・・、・・・・ったた」
殴られた衝撃でよろけて尻餅をついた。
殴られた頬がジンジンする。痛い。
「何やってんだハリー!!!」
「そうだぞ!
・・・・・あぁ、何だ?このダサ眼鏡に惚れたのか?」
「ぎゃはは!お似合いだぞ!」
「・・・・・・・はぁ、大丈夫?き・・・・、み」
溜息を吐いて、彼女を見た一瞬、息が詰まるような感覚に襲われた。
「おい、ハリー!なんとか言えよ!」
「!?!・・っ」
あぁ、視角的にダドリーも、目にしたようだ。
「ご、ごごめんなさい!!!大丈夫!?」
───透き通るような、紫色の瞳が、髪の毛の隙間から、僕を見ていた。
「・・・・・、っあ、だ、大丈、夫・・」
つい、声が、裏返ってしまう。
「本当に、本当にごめんなさい!ど、どうしよ赤くなってる・・・ほっ保健室!保健室に行きましょう!って、どこですかすみません!・・?あっあの?もしもし?」
「・・・・!
・・・・っあ、ご、ごめんっ」
ふと、ダドリーを見れば、顔全体が真っ赤に染まり、ポーッとした表情。視線は彼女に熱く注がれていた。その時、僕は悟った。
気の毒に、彼女は、どうやら僕の従兄弟に惚れられてしまったようだ。
fall in love with instant!
初めて見た。恋に落ちる瞬間なんて。
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