「ね、本とか興味ない!?」
「あー・・・・、もう決めてる部活あるんで、すみません」

桜がゆらゆらと纏わり付くのに比例するように、人が纏わり付いていくのを、やんわりと断る。
ていうかこれでもうこの台詞吐くの、五回目だ。周りを見渡せば、他の一年生もどうやら同様で、先輩達の勧誘にあたふたしているのが見えた。チラシを何枚か貰ってしまったが、悪いがこれはごみ箱行きだな。

「君、野球に興味ない!?」
「いやぁ、私野球ってよくわかんないですし、決めてる部活があるんですみませんー」
「いや、大丈夫だよ!教えるし!ね、やってみない?マネージャー!」
「・・・・・・・あー、じゃ、考えときまーす」
「えー、君みたいに可愛い子に入ってほしいんだけどなー」
「あっははーありがとーございまーす」

まさかあの断り方でまだ食い下がってくるとは思わなくて、少しだけびっくりした。引き止められそうになって無理矢理人を押し退けていったが、やはり限度はあるみたいでなかなか進めない。うーん、どうしようか。・・・おっと、前の色素が薄めの読書少年ごめん。少し押しすぎた。

「、」
「・・・・・っと、ごめん、なさ・・」

なんとか肩を掴んで、目の前の彼を止めた。いや、てかこんな人混みの中で本を読むなんて・・・・・・

「・・・・・い?・・・・・・え、」
「・・・・・お久しぶりです。みょうじさん」

今私が肩を掴んでいる人物、彼を、私は知っている。
相変わらず色素が薄くて、謙虚な彼は本を閉じて私にペコリと挨拶をした。


(く、黒子くん!?)
(同じ高校だったんですね)
(う、うん・・・・!お久しぶり、です)

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