厨二じゃない

あれから結構な時間は経ち、


ギャーギャーこの赤髪のおにーさんやかましいなうるさいな、いい加減黙んないかな。

そんな風に思った時だった。



「・・・・・・・、あれ、」

「・・・・・・今度はどうしたんさ」

「み、右手が!う、疼く・・・・!」

「どこの厨二さ」



いや、実は結構前、パンツ見られた辺りぐらいからちょっと違和感はあったんだけど。

・・・・・なんか、締め付けるような、



「・・・・・・・み、ミサンガ?」

「?・・・・・みさ、んが?何さソレ」



・・・・・・・・気のせいだろうか?ぎゅうぎゅうと、右手につけてあるミサンガが締め付けるような。

・・・・・・いや、



「き、気のせいじゃねぇ・・・・!」
「は?」

「パーンって破裂するぅううう」

「ハァアアア?!」



─────ドクン、

──────ドクン、

────ドクン、



・・・・・・・何、これ、怖い。嫌だ。

身体が心臓みたいに鳴り響いてる。



「・・・っい、やだ、・・・・・っ!?」



──────ド、クン!!!!



破裂はしなかったけど、ふいにぐらりと視界が揺れた。




***********




「・・・・・・・・・・・ここ、は」

「あ、目、覚めた?」

「・・・、・・・・・ハ、イ・・・・」



目を開けるとそこには女神と言う名の美少女がいた。

・・・・・ちょ、心拍数が早い。



「兄さん。目、覚めたわ。」

「あ、本当?」

「・・・・・・・・・・は、初め、まして。あの、ここまで運んで下さったみたいで、・・・・ありがとうございます。」

「いえいえ。まぁ運んだのは僕じゃなくて、ほら、赤髪の子いたでしょ?あの子なんだよ」

「・・・・・そう、なんですか」



・・・・・・・兄さん、ってことはこの二人は兄弟なのかな?すごい美形兄弟だな・・・・・・



「目、覚めた所悪いんだけど・・・・、名前、聞いてもいいかな?それと君はどこから来たの?」

「みょうじなまえです。・・・日本から来ました?」

「・・・・・・・・・・・えと、」

「あー・・・・、すみません。
えーと、ハイ。日本です。日本で合ってます」

「・・・なるほど・・・・遠くからお疲れ様。」

「あ、いえ・・・・・」

「・・・・・・・その腕輪、は?」

「え、あ・・・・・これの事ですか?」


ミサンガを指せば、うん、と目の前の男性は頷いた。



「これは、隣の家に住んでいた知り合いから貰ったものです」

「なるほど。・・・あのね、君の持っているその腕輪はね、ただの腕輪じゃあないんだ──」

「・・・・はい?」


それから私はこの世界の事、イノセンスの事、いろんなことを教えてもらい、このちっちゃな脳みそをフル活用してなんとか知識を詰め込んだ。・・・ディープすぎて何が何だか。



「・・・・・・・・イノセンス、の適合者、」

「うん。そうなんだ。」



自分を指差しながらそう問えば肯定が返ってきた。

・・・・・・めんどくさい所にトリップさせられたなぁ・・・。
これでこの世界、漫画を好きな子だったら嬉しいんだろうけど。
ぶっちゃけのんびり気ままに生きていたい自分としてはものすごく目眩がする。第一Dグレとか夢小説の短編とオリジナル連載しか見てないし。あとイラスト。
・・・・・・・ていうか、トリップ特典とかいらねーよ



「・・・・・、・・・・」



この右手についているミサンガは「イノセンス」で、どうやら私はその適合者らしい。

・・・・・・・・全く実感湧かない。



「・・・・・・協力、してくれるかな?」



アクマ、を倒す武器が、このミサンガなんて馬鹿らしすぎて反対に笑えない。



ぶっちゃけ、重い。


だけど────・・・・・・



「・・・・・・・・・はい。」



行く宛ては、どこにも無い。