「・・・・・・・藤原さん、が?」
「えぇ。たかしくん、だったかしら?最近引き取ったらしくて」

ふと、洗濯物を伯母である伊緒さんと畳んでいると近所に住む、藤原さんの話になった。「藤原さん」とは昔から近所付き合いがあって仲良くさせてもらっている夫妻だ。奥さんの塔子さんは小さい頃、蒼くんに会いに行く度によくお菓子をくれた。とても優しくて、空気がほわんとしてる人である。滋さんもとても素敵な人で、あの二人は仲が良く、私は昔から好きだった。
・・・その、藤原さん夫妻が最近「たかし君」という男の子を引き取ったらしい。しかも、私と同い年で同じ学校。こんな田舎に、転校生なんて、そんな偶然あんまりない。


「・・・・・・・・伊緒さん、あの、苗字、は?その男の子の。」
「たしか、季節の夏に瞳の目と書いて夏目くんよ。・・・もしかして、同じクラス?」
「・・・・・・・うん。同じクラス。」


・・・・・近所だったんだ。



**********


「はよー・・・」
「はよ。・・・・・寝不足?」
「あー、・・・・・うん。」

昨日、どうしても伊緒さんから聞いた話が頭から離れないまま、宿題を片付けていたのだが、やはり無理だったみたいで、捗らなかった。
二時まで粘ったのだが、結局最後まで終わらなかったのだ。

「昨日科学の宿題が終わんなくってさー」
「うっわぁ!俺も終わってない!」
「本当?だったら今日放課後一緒に終わらせちゃおうよ」
「そうだな。」

たしか今日は蒼くんは友達の家で勉強するらしいから邪魔にはならないだろうからちょうどいい。
最近はハルちゃんの家ばっかりだったから今回は───・・・・


「俺も!」

「「え?」」
「俺もその中に加えてください!成績上位者様!!」
「ちょっ、西村!」

・・・どうやら、聞く所によると西村くんは今回のテストがやばかったらしい。本音を言うと、いきなり入ってきてびっくりした。だけど、北本くんがごめん、いきなり割り込んできてと本当に申し訳なさそうに謝ってきたから、なんだかむしろこっちが申し訳なくなった。

「大丈夫だ。つーかもし謝るとしたら西村だから。」
「わり!いきなり入ってきて」
「「軽いなオイ」」

まぁ、別に人数が多くても大丈夫だろう。それじゃあ、あと純も誘おうかな。男子三人に女子一人だけってのはちょっと気まずいし。

「あ、夏目だ!
なぁ、夏目も誘ってもいいか?」
「俺は平気だけど・・・・みょうじは?」
「あー・・・・・別に全然、大丈夫・・・」

・・・・いやいやいや、気にするな。第一、あっちは私のこと、覚えてはない、筈。ただ一緒に勉強するだけなんだから。

「よっし!それじゃあ俺言ってくる!」
「うん」
「いってら」



(じりじりと)
(太陽が照り付け、蝉が鳴く)


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