「・・・まだかなー・・・・」

肝試しははるちゃんと一緒に行こうということになり、待ち合わせをすることとなったのだが、10分早めに待ち合わせ場所に着いてしまい、少しだけ暇だ。ていうか、本当にやるの?肝試し。なんか実感わかないなぁ・・・夏目くん、大丈夫かな。夏目くんって妖怪に噂されるぐらいには霊力が強いみたいだし。・・・あ、


「っごめん、待たせたか?」
「ん、そんな待ってないから大丈夫」
「そうか?よかった。んじゃ行こうか」

二人で並んで肝試し、なんか出るかなとか誰と一緒になるのかとかたわいない話をしていれば、目の前に西村くん達を見つけた。

「・・・あれ、夏目達じゃね?」
「!、そ、そうだね。声掛けてみる?」
「だな。おーい西村ぁー北本ぉー夏目ぇー」

うわ、本当に声掛けちゃったよ・・・はるちゃんがぶんぶんと手を振りながら少し声を上げて三人を呼べば、西村くん達は気づいたようだ。こっちに向かって立ち止まって手を振っている。

「よっはる、みょうじ」
「・・やほ。・・・にゃんこ?」
「あ、ホントだ。・・・変わった猫だな。でも可愛い」
「「え!?」」
「・・・嘘だろ?」
「あはは・・・」

はるちゃんは感性が少し変わってるから周りの人がたまにこうして驚くことがある。どこが?と西村くんが問えば頭が大きくてふっくらした所、と不思議そうに何がおかしいのかと平然と答えた。・・・・・うん、それでこそはるちゃん。

「・・・あー、とりあえず立ち止まるのも何だし、行こうか?」
「そうだな」



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「さぁクジ引きするぞー」

実行委員長のはるちゃんがクジが入った箱を持って回っていく。・・・げ、美野垣だ。うっわ、嫌なもん見た。目ぇ合わない内に逸らそーっと・・・

「みょうじ、クジ引いて」
「!ん、わかった・・・・7、かぁ」
「そんじゃ、あとで皆引いたか確認するから持ってて」
「りょーかい」

誰にと一緒になるのかなぁ・・・・はるちゃんと純が一番いいけど、それ以外だったら・・・美野垣以外だったら誰でもいいかなぁ

「よーし、皆引いたなー?
一斉のーせでクジを見せるからなー」

前の方ではるちゃんが声を張り上げている。私は7番・・・かはるちゃんとは純は何番だろ


「いっせいのーせ!」


七番だから、は・・・ち番は・・・あ、あの人・・・・


「・・・・・・・・は」


クジを辿って、その顔を見て、唖然とした。そんな、嘘でしょう?何の偶然だよ。


「・・・・・、・・・・・」


夏目くんと、ペアなんて・・・。

タイミング悪すぎ。夏目くんは気付いたかな、いや気付いてるよねめちゃくちゃ見てるもん


「あれ?一枚足りない・・・誰か引いてないのか?」
「・・・・いや・・・二十番までちゃんといるぞ」
「・・・・・あ、・・・一人、多い」

ぐるぐると思考は廻っていく中、人数が一人多いのも気になるがやはり私はざわつく皆と違ってどうしても肝試しの相手のペアに対して色々気になって気になって仕方がない。
・・・・どう、しよう?何を話せばいいのかな。私から昨日の事話していいのかな・・・・ちょっ、ちょっと、いやかなりそれはキツイかもしれない。勇気がいる。だって昨日のは衝動のようなものだ。助けたいと思ったから、つい飛び出してしまった。ただ、それだけなんだ。

「とにかく始めるぞ!第一組、出発!!」



(辺りと比例するように)
(胸がざわついた)


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