・・・・・・・ついてない。今日は炎天下らしく、たしか朝の天気予報では最高気温は35度と言っていた気がする。
そんな中、自分は運が悪くも日直で、積み上げて持ち上げれば前が見えなくなるほどのコピー用紙達を職員室に運べと担任に命じられた。肝試しの件と言い昨日からなんかついていない気がする。
──────バササササッ
「ぎゃぁああ!?」
叫んだ途端にフリーズ。
私の視線の先にはまるでドミノのように上から散らばったA4のコピー用紙達。・・・・・・ぁあああ・・・!!
すぐさまハッと気づきしゃがんて集めなおすがこんな時に限って風がよく通り、紙はヒラヒラと飛んでいく。先程叫んだせいもあり、すごく視線が痛い。
「ハイ。」
目の前にうちの学校の男子生徒の足が見えたと思ったら、プリントを渡された。親切な人だなと思い、お礼を言う為、顔をあげた。
「あ、ありがとうござ、・・・います?」
「あ、やっぱりなまえか」
「かなちゃんっ!」
立ち上がって確認すれば、最近こちらに引っ越してきた幼なじみがそこに立っていた。
「っあ・・・・・・ご、ごめん。ありがとう、要くん。」
「あ、いや、・・・まぁ教室とかじゃないし大丈夫だろ」
「そっか、・・・・あ、でも一応人が何人かいるから念のため」
つい焦っていた為、ちゃん付けで呼んでしまった。
学校では変に囃し立てたりする人がそこそこにいるから気をつけようと二人で前に話したのに。
はるちゃん、は私の他に二名そう呼んでいる人がいるから良いとして、要は最近こちらに転校してきたばかりだし、クラスも違うのに私と親密なのは怪しまれる。ただでさえかなちゃんはそこそこに顔が整っているから尚更だろう。
「いやー暑いねー」
「ほんとだな。・・・・・ハイ、これで最後か?」
「あ、うん。手伝ってくれて本当にありがとう。
それじゃ、バイバイ。」
「・・・・・手伝う」
「え?・・・・・ちょっまっ、待って!悪いよ!要くんのが多いし!」
私からひょいっと軽々とプリントをもって歩き出した要くんを追えば要くんは何を言っているんだという顔でこう言った。
「こんな数持てるわけないだろ。また落とすぞ。」
「・・・じゃあ、あともうちょっとプリントちょーだい」
「いいんだよ。軽い軽い」
「・・・、・・・本当にごめん・・・・ありがと。助かる」
ここまできたらかなちゃんの性格上、頑固な所があるから絶対譲らない。ここはお言葉に甘えさせてもらおう・・・
「・・あ、おじさん最近どう?元気?
「あぁ。みょうじに会いたがってたよ」
「本当?私も会いたいな。
今度遊びに行ってもいい?」
「あぁ、もちろん。きっと喜ぶ。」
「じゃあー・・・・夏休みに入ってからすぐ遊びに行ってもいい?」
「わかった。それじゃあ前日あたりに電話してくれ」
「ん。りょーかい。
・・・・あ、ついたー・・・・!」
失礼しますとノックして開ければ、ひんやりとした冷気が身体に染み渡る。くそー私も早く教室入りたい。そう思っていそいそとコピー機に用紙をセットした
「えーと・・・・これでよし、と」
「ん。・・・・・・気持ちいいな」
「ねー。あーっ出たくなーい」
そんなことを話しながら二人で隅の方でまったりしていたら、つい科学の厳しい先生と目が合ってしまった。出ようか?と言えば少し間が空いてそうだな、と返事が返ってきたので静かに退室し、ドアを閉めればつい口から零れた溜息がハモった。
(・・・いいなークーラーの設定温度いくつなの?ずるっ)
(20度ぐらいか?羨ましいな・・・・)
そういえば昔から彼は優しい子だったなとふと思った夏の暑い午後の出来事。