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授業が終わり、一斉に皆が帰り出す中、私はずっと話したかった相手を引き止めた。


「ハーマイオニー、」
「!」
「一緒に、帰ろう?」
「・・・・・えぇ。」


こくん、と彼女が頷いたのを見てあぁ、やっと、やっとちゃんと話せるかもしれない。そう思ったから、私は少しホッとした。
私はハーマイオニーの隣に行き、今日の授業のこと、それから魔法薬学でわからないこと。沢山色々話した。最初は彼女も相槌を打つだけだったけど、徐々にいつものハーマイオニーらしく話してくれた。・・・・うん、やっぱり私は恋の話とかよりもこっちの方がいいや。そう思うと同時に、このまま、前のように戻れたらと思っていた。だけど、



「『ウィン・ガー・ディアム レヴィ・オー・サ。「ガー」と長くきれいに言わなくちゃ』何様だよ!全く!!」


ピタリ。ハーマイオニーの思考というか空気が止まった。私も、同じく。


「だから誰だってあいつには我慢できないっていうんだ。まったく悪夢みたいなヤツさ」


────あぁ、全く、なんてタイミングが悪いんだ。


「・・・・・・ハーマ・・・・、えっ」


チラリ、と彼女を見れば、彼女は俯いていたが、きらりと彼女から光る雫が落ちるのを私は見た。泣いている、そう思うのと同時に彼女は早足に私を置いてそこから居なくなってしまった。


「今の、聞こえたみたい」
「それがどうした?誰も友達がいないってことはとっくに気がついているだろうさ」
「・・・・それ、どういうこと?」


・・・・私、何でこんなにも怒ってるのかな。


「え、」
「友達がいないって、何?
・・・もし、本当に友達が居ないとしてもどうして聞こえててもいいの?」
「・・・・・それは、・・・」
「・・・・私、ロンとは仲良くなれそうにないや。じゃ、言いたかったことはそれだけ。バイバイ。」
「、!」
「なまえっ!」


緑の瞳が真っ直ぐに私の目を見て名前を呼んだ。だけど、私はそれに答えるよりも早く、彼女を探さなければ───



*************


「・・・・・・・、・・・・・・」


見つからない。あのハーマイオニーが授業をサボるなんて、よっぽどのことだ。あぁもうどうしよう私、何で、何で、友達じゃ、ないのに。
友達になりたい、なんて馬鹿みたい。なれたとしても、いつか彼女達は本当のことを知ったら、自分を怯えるに決まってる。・・・・でも、


「・・・・・・探さ、なきゃ」


だって、彼女が危険な目に遭うのだから。



(どうか、間に合いますようにと)
(記憶を手探りで、)


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