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「────え?」
「だからグレンジャー、ハーマイオニーのことよ!」
「・・・・・・・・・ごめん、ちょっとボーッとしてた。」
急に予想外な話を振られたのでビックリした。
彼女達は最近よく話しかけられて仲良くなった子達だ。
話の内容は色恋沙汰が多く、色恋沙汰と言ってもこの年頃の女の子達にしてみればほんのちょっとだけ内容がおませさん。だけど、今回は珍しく違う話になったみたいで、
「あの子、真面目すぎない?」
「うーん・・・・・たしかに、真面目ね。」
「でしょう!?この前なんか、聞いてもいないのに、そこは間違ってるわよーなんて!」
「うわー」
「あー、やさしいよね。」
「いや、そういうことじゃなくて!」
そう言われて今あることに気づく。彼女達は私からハーマイオニーを遠ざける為に近づいたのだということ。それから、それが上手くいきすぎたのかわからないが、・・・・今日、ハーマイオニーと、喋っていない。執拗に話しかけてきたのは一昨日、ぐらいからだからちょうどか・・・・・。
「・・・・・・・私、トイレ行ってくる」
後ろからついていこうか?と呼び止められたがやんわりと断って私は足早にそこから立ち去った。
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「・・・・・・・・どこだろ」
ここまで探しても見当たらないなんて、自分はもしかしたら彼女に相当避けられているのかもしれない。・・・・何で気づかなかったんだろ。
「・・・・・・・・・」
彼女はたしかに、おせっかいだ。真面目で、嫌みったらしいというか目立ちたがり屋かもしれない。
・・・・・・だけど、
それが彼女が優しさだと私は知っている。
あの子に指摘したのだって、きっとあの日、順番的にあの子が先生に指されるからだろう。・・・・・はぁ、本当に、どこに行ったんだろ。全然見当たらない。図書館にも寮にもいないなんて、他に思いつく先がない。
「・・・・・・・」
こうなったら、今は諦めてあの女の子達を振り切ってでもとりあえず教室に早く行って、待ち伏せしよう。それでハーマイオニーに近付いて話し掛ける。
次の授業までまだ時間はあるが、彼女の事だから既にもう教室にいる筈だ。
(彼女とあの子達)
(どちらを選ぶかなんて簡単に決まってる)
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