03 [ 22/29 ]


只今授業が終わり、ハーマイオニーに捕まっています。


「いーやーだー!お母さぁあん!怖いよー!」
「なんだかなまえ、歯医者を嫌がる子供みたいだね」
「ネビル助けてーっあのドリルが僕を襲うんだー!」
「ちょっとは黙りなさい!」


今日は飛行訓練の日。そう、記憶が正しければネビルが箒から落ちた筈。
残念だが記憶に残ってる。止められる自信とか全くない。

・・・・・・いや、努力はした。
浮遊系の呪文を試しにやってみたら、試したコップがポンッと消えて失くなってしまったのだ。
これが人間だったらとか考えただけで恐ろしい。笑えない。

十回程試してもう物が亡くな・・・無くなるのは嫌だったので練習は放棄した。


「僕も行きたくないよ・・・・」
「じゃあ行かなきゃいいじないか!」
「えぇ!?」
「なまえ、ネビルを困らせないの!ほら、行くわよ!」
「嫌だぁあああああお母さんんんんんんん待ってぇあああああ・・・
・・・・いや、ちょっ、首、締まって、る!ギブギブギ、ッヴ・・!」



**************


「先生はまだかしら」
「歯医者より怖かった・・・・、走馬灯が・・・」
「大袈裟よ」


・・・・・・・引きずられてとうとう来てしまった。皮肉にも天気は晴天で、風が少し吹いている。絶好の飛行訓練日和というやつだろう。

「何をボヤボヤしてるんですか」


短い白髪に黄色い目。まるで鷹のよう。マダム・フーチが来た。
・・・・・・ぶっちゃけお前が来ないからだと心の中で愚痴るあたり、今相当私は機嫌が宜しくないようだ。テンションガタ落ち状態だ。
いやだって無理だからねネビルの怪我ってどのぐらいなんだろうか。その後ドラコがなんかハリーに喧嘩売るとかあったよねうーわーもうまじであのしゃしゃりデコめもう傍観だ傍観。知り合いとか恥ずかしい。


「みんな箒のそばに立って。さぁ、早く」


チラリと箒を見れば古ぼけて小枝がピョンピョンと何本か変な方向に飛んでいる。


「右手を箒の上に突き出して。
そして、「上がれ!」と言う」


みんなが上がれ、上がれ、と叫び出した。
それに少しビクッとしたが自分もやらなくては、と思い、箒に手をとりあえず翳してみた。


─────ビュッ


「うおっ」
「!・・・・・貴方、今指示してた?」
「・・・・・・ううん」


上がれと言おうとした瞬間、手に箒が収まった。何コレミラクル。

「・・・・コツは?」
「え、・・・・な、何も考えずに箒上がれみたいな」

「アバウトね・・・・・」


キョロキョロと周りを見れば箒を手にしていたのは私とドラコと、

「「え、」」


今目が合い、声がハモって逸らした彼だけだった。


「上がった!」
「、えっあ、本当だ」

「たしかに何も考えずに、っていうのはよかったわ。ありがとう」

「本当?お役に立てたみたいでよかった」


ハーマイオニーに笑いかければ彼女はじっと私を見た後ネビルへと視線を移し、アドバイスをし始めた


「・・・・・・・・?」


少し気になったが、まぁいいかと納得しといた。
その後みんな上がったみたいで、すぐにマダム・フーチがまたがる方法などをやって見せる。
そんな中、ドラコが指摘されていたのは何だか意外だった。


「──さぁ、私が笛を吹いたら地面を強く蹴ってください。

箒はぐらつかないように押さえ、二メートルぐらい浮上して、それから少し前屈みになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ

───一、二の──」

「ネビル!?」

「わぁあ!?」


笛を吹く前にネビルは上がってしまった。


「こら、戻ってきなさい!」


マダム・フーチの言葉に逆らうようにネビルの箒はふわふわと上昇していく。そしてぐわーん、ヒューンと箒が飛ぶ。


「ネビル、落ち着いて!」
「なまえっ、うあぁっ、たすっ助けて!」


駄目だ。今のネビルに落ち着くなんて言葉はない。


────ガンッ


きゃあっ、と言う悲鳴がしたかと思えばネビルは運よくローブが引っ掛かりなんとか落ちずにすんだ。


「、っ待ってて、今、」


先生が、と彼に寄りながら言いかけたその瞬間、ローブが切れた。

「、」


──────間に合え、


ただそれだけを思って気がついたら走っていた。



─────ドスンッ



「なまえ!!」


ハーマイオニーと、その他のグリフィンドール生の女子の悲鳴と一緒に名前を呼ばれた。避け続けている彼に。


「っ、あ・・っ・・・・・・!」


そう理解した瞬間に、来た痛み。どうやら左足を思い切り打ったようだ。あと少しお腹痛い。


「・・・・・大、丈・・夫?ネビル、」
「っい、・・・・ってなまえ!?
ひ、左っすごい腫れてる!うわ、どうしよう・・・!」
「・・・あー、・・っとりあえず、どいて、くれる?」
「!ごめんっ」


なんとか無理矢理起き上がれば涙目で顔面蒼白なネビルがこちらを見ている。


「大丈夫、だよ、ネビルは・・・・
あ、少し擦りむいちゃったね」
「僕は全然・・・・っごめん、本当にごめん!」
「なまえ!大丈夫!?」
「大、丈夫、だからハーマイオニー」
「大丈夫じゃありません!医務室に連れていきます。さ、ロングボトムも。・・・・・骨が折れてるわ」


呟いた言葉に驚き。え、いや立ってるんですけど。


「いいですか、私がこの子達を医務室に連れていく間、誰も動いてはいけません。箒もそのままにして置いておくように。さもないと、クィディッチの『ク』を言う前にホグワーツから出ていってもらいますよ」


マダム・フーチに抱えられて私はネビルと一緒に医務室に行くこととなった。



(つい、気がついたら身体が動いてた)

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