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今日はスリザリンとグリフィンドールの合同飛行訓練ということで、グリフィンドールとスリザリンの生徒達はなんだかそわそわしている。
そんな中、隣のハーマイオニーがネビルに一生懸命飛び方とかについて話しているのをBGMにご飯を食べていたらロンに話しかけられた。君は箒乗ったことあるの?と。


「あるけど高所恐怖症だから見学させてもらう」
「・・・・・・却下されると思う」


素直に言えば苦笑されて君と一度話してみたかったんだ。ハリーの友達らしいしと言われて少し驚いた。


「私と?」
「うん。・・・・ちょっと、生理的に無理な子が君の近くにいるから」

ちらりとその彼の無理な子らしき彼女を見ればネビルにまだ語るように話していた。


「・・・・・・そうなんだ。誰だか私はわからないけど。
貴方は?貴方は箒に乗ったことは?」
「え、あー、あるよ。
・・・・・あの、前に自己紹介したと思うけど、」
「覚えてるよロナルド・ウィズリーくんだよね」


少しだけ赤毛の彼は、誰だかわからないと言った私に目を見開いたが何事もなかったかのように話を続けたので、私も気にしないことにした。


「そっか。僕のことはロンでいいから。よろしく」
「よろしく。それじゃあ私はなまえでいいから」


握手を交わせば、視界にどうしても彼が見えてしまう。ロンの後ろにいるのだから仕方ない。まぁそこはスルー見えない見えない。

そう、知らない。知らない振り。視線は、合わせない。


「なまえ、」
「なまえ!貴方は大丈夫なの!?」
「え、」


────ドクンと一瞬心臓が飛び上がって、反応が、少し遅れた。


「・・・・・・・・あー、見学、」
「何言ってるの!」
「えー?だってやだよ」


何を、言おうとしてたのだろうか。彼から逃げるようにハーマイオニーに向き合えばまだ感じる視線。・・・・・本当に、自分が最低だと思う。自分勝手な考えを何も知らないハリーに押し付けて、避けて、なんて最低。最悪だ。
そして、『友達』という言葉に酷く、罪悪感というか、申し訳ない気持ちに襲われる。
もちろん、目の前にいる彼女だって、列車で「友達」になったメアだって去年からすごく仲良くなったセドリックだって、ザリンにいる彼だって関係を持ってはいけない気がする。いくら悪いキャラ、敵キャラだったとしても駄目だと思う。まだ、他にも沢山いる。たとえば、今宜しくした彼だってそうだ。私自信と、関係を持つなんて、何も知らない彼等に悪い。
たまに罪悪感でどうしようもなく苦しくなることが度々ある。もし、本当の事を言ったらどうなるのだろう?まず変な奴だと思われるだろう。いや、その前に怖がられるかもしれない。
──だって、もしこの世界が来世だとして、私が生まれ変わって「此処」にいるのだとしても、記憶は持っている、「私自信」なのだ。過去に犯した過ちは、決して、甘いものではない。



「ふくろう便だ!」


誰かの声に、現実に戻された。ハッと気がつけば、皆の視線は上へと向いている。
隣を見れば、ハーマイオニーすらもクディッチ今昔を読むのを止めて手紙に気を取られていた



───ゴトッ



「あ!」


ハーマイオニーの向こう、つまりネビルの前にふくろうが何かを置いた


「思い出し玉だ!・・・・・あれ、赤くなっちゃった。何か忘れてるみたい」


思い出し玉、そんな物があっても内容がわからなくては意味がないような気がする。
まぁ思い出すきっかけとなればいいのだが・・



「・・・・・・・え、ドラコ?」
「やぁ」


側近にも似たお友達を引き連れたドラコが、いつのまにか近くに居て、ネビルの思い出し玉を持っていた。


「・・・・・・わざわざグリフィンドールにスリザリンが来たりするだけでも目立つのに。
・・・・それ置いて、向こう行きなよ」


忠告すれば、後ろからガタッと音がした。何だと思えば、先程話したロンと先程無視した彼がドラコを睨んでいた


「どうしたんですか?」
「あ、」


言わんこっちゃない。マグゴナガル先生が何か問題を起こしたのかという顔で現れた。


「マルフォイが僕の思い出し玉を取ったんです」
「見てただけですよ」


ドラコはしかめっ面でそう言えばこちらを見た後すぐに側にいた二人を引き連れて去っていった。


「本当に何なのかしら。あの人達。ねぇ、なまえ、まだ時間があるわ。図書館に行きましょう?」
「あ、うん。
ネビル、思い出すといいね。じゃあね」
「うん、いってらっしゃい」


また緑の瞳と目が合ったが、知らないフリをして私は彼女と一緒に図書館へと向かった。
・・・・必要以上に、彼を避けるのはきっと私が彼の存在が怖いからだ。聞き返す間もなかったなんてのは言い訳に過ぎない。
ただ、傷つくのも傷つくのを見るのも、どちらも怖いから避けて逃げるのだ。



(所詮、私は犯罪者。)

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