桜がひらひらと目の前を横切るのを眺めながら私は一週間前に正十字学園の理事長に送られた手紙で知らされた通りに入学式が終わった後、手軽で記してあった場所で待っていた。

「お待たせしました。高梨菖蒲さんで、間違いありませんね?」

ここの理事長がとてもあちらの世界で人気だったのは覚えていた。だから、風貌もなんとなくは頭に残っていて、とても平凡とは言えない格好をしているのは知っていた訳で、だからこの人はあの悪魔である理事長でないことはすぐにわかったのだが、だがしかし、

「あの、もしかして、これから塾なんですか?それなら私、先に寮に荷物を置きたいんですが、時間は・・・大丈夫でしょうか?」
「はい。お部屋の事に関しては、高梨さんの部屋は特別にご用意させて頂いてます。」
「とく、べつ・・・とは?」

ちょっちょっと待って特別とかいらないから待って、嫌な予感しかしない。

「付いて来て下さればわかります。」


*********** 


「ここ、は」
「・・・・では、お荷物を」
「、・・・わか、りました」

・・・答える気はないってこと?えっ待て待て待て。寮って・・・・古くない?

「・・・・・・、」

順応性は高い方だけど流石にこれは戸惑う。ここ、私以外に人いるのか?
暫くすると人が現れて私の荷物を寮へと持って行った。

「では、塾に案内させて頂きます。着いてきてください。」


目の前の彼はそう言うと進んで行ってしまったので私も急いで足を進めた。彼の背を見ながら私は早くも後悔し始めていた。こんないい加減な集団の仲間になっていいのか?・・・・入った以上は責任は取らないという事だろうか。


「この鍵を貴女に差し上げます。受け取ってください。」
「・・・寮の鍵、ですか?」

急に立ち止まったかと思えば、何かを渡された。それは少し大きめの鍵だった。何の鍵だろうと首を傾げて彼をもう一度見れば真っすぐ私の後ろを指差した。ここ、が塾?首を傾げると彼は教えてくれた。この鍵はどこでも塾に繋がることを。・・・すごい二次元。
つまりここから、私は奥村君達以外の主要人物と関わるということなのだろう。

「・・・・では、どうぞ」

とりあえず塾についたら奥村兄を捕まえよう。
それで、謝るんだ。ちゃんと、もう一度

「はい、・・・今開けます」


友達に、なる為に。
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