「高梨ちゃん大丈夫!?」


ドアをがらりと開けて友達二人におはようと言えばいきなり心配された。・・・・・え?何?何か私顔に付いてる?

「・・・・・・・えと、」

戸惑いながらもどうしたのと聞けば、一昨日私を見た人物がいたらしいが、奥村くん、・・・お兄さんと一緒だったのがあまりに異質だったらしく、噂が広まっているとの事。

「菖蒲ちゃんっ奥村燐と仲良いって本当なの!?」
「・・・・・・・え?う、うん。まぁ普通に話すぐらいに・・・は?」

言われてみれば、奥村燐くんと仲が良いと言っていいのだろうか。まず彼にとって、私は友達というカテゴリーに入ってるかはわからない。私個人の気持ち的には、仲良くしたいとは思っているが。

「友達!?それとも、付き合ってるの!?」
「ちょっまっ・・・えええ?」

何をどうしたらそんな話になったのか。やはり中学生は噂が好きなんだなぁ。ただ一緒に話してただけなのに。ていうか奥村くんはそんなに怖くないよ。・・・・弟さんは、わからないけど。


「えー・・・と、まず、奥村くんとは付き合ってない。」


何だこの教室の静けさは。
どうやら皆私達の会話に聞き耳を立ててるみたいだ。・・・そんなに大事になってたのかな・・・
一つ溜息をついてそれから、とまた話し始めると誰かが、ドアを開けて入ってきたような気がした。誰かが、あ、と声を漏らした。


「奥村くんとは、多分友達っていう程仲が良い訳でもないよ」


ちらりと誰が入ってきたのかを見れば、私は言葉を失った。
別に聞かれてもいい話・・・じゃない気がするなぁ・・・・だって、彼が怖がられてるからどういう関係なのか聞かれてる訳だし。・・・・とりあえず、


「おはよう、奥村くん。学校来るの久しぶ・・・」


──次の瞬間、私の目に映ったのは、眉を寄せて悲しそうに私を見る奥村くんだった。


「・・・・、?まっ、」


奥村くんは、私が待ってと言う前に背を向けたので、私は奥村くんの肩を掴もうとしたら、奥村くんはそれを擦り抜けた。


「・・・・おくっ、」


名前を呼ぼうとすれば、彼は足を速めたので、私も速歩きで彼を追い掛けた。


「待ってよ!奥村くっ」
「来んな!!」


・・・・正直に、立ち止まった私は馬鹿だと思う。だけど、あまりにも奥村くんが、奥村くんの声が、強く、拒否していたから。だから、

「二度と、関わんな」


何が、いけなかったのかな。友達だと、奥村くんは思ってくれていたのかな。でも、関わるななんてそんなの、あんまりじゃないか。だって、私はもっと奥村くんと話したかったよ。もっと、奥村くんのことを主人公とかそんなんじゃなくて一人の人間として私は知りたかったよ。もっと、もっと、


「っごめん、なさい、」


奥村くんは私の謝罪に対して、何も言わず、そのまま廊下を進み階段へと向かっていった。


「・・・・・、・・・・どうしよう、」


今日私は奥村くんを傷つけた。
それと同時に、私は今日、生まれ変わってから初めて「喧嘩」をした。
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