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「・・・・・澤村?」
席に着いた途端、澤村が久しぶりに私の席の前に来た。胸がぎゅうって痛くなって、息が少しだけ荒くなった。何だろう、部活のことだろうか。とりあえずおはようと挨拶すればあちらも少し間を空けておはようと返してきた。
「どうしたの?」
「!・・・・いっいや、その・・・・」
澤村がこんなに焦ってる所見るのは二度めだ。
一回目は、私が澤村に告白した時だ。あの時、一瞬首を傾げてから澤村は理解すると顔を赤くしていたが、今も少し、私の気のせいでなければ赤い気がする。
心音が、少しだけ早くなる。
「・・・、?あの、」
「今日、一緒に帰らないか?」
──────え?
「・・・・・・・・」
どうしたというのだろうか、昨日のスガといい、澤村は一体、どうしたのだろう。
・・・・・でも、もし一緒に少しでもいていいと澤村が言うのなら、
「・・・うん、いいよ。帰ろう」
スガが視界の端でピースをしてるのを見てじわりと何かがこみ上げてきた気がした。
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「影山君、この前猫のことガン見しててさ、多分アレ絶対触りたかったんだと思うんだよねー。・・・猫さん怯えてたけど。」
「ははっ」
・・・うん。ちゃんと、私話せてるよね?大丈夫大丈夫。何だか私ばっかり喋ってる気がするけど。
部活が終わった後、澤村の隣に並んで私は家へと向かっている。久し振りだなあ、この光景。
「なぁ、」
「ん?」
澤村を見るとこちらをちらりと見てまた視線を前と戻し、彼は立ち止まった。
どうしたのと言おうとしたが私は止めた。澤村が真っ直ぐに真剣な顔で私を見ているからだ。
「昨日、スガになんか言われたか?」
「え、?」
どくんと心臓が嫌な音を立てた。言うべきか、言わないべきか。言ったら澤村がスガに申しわけないとか思うかもしれないし、ここはやはり言わない方がいいのだろうか。いや、でも──
「・・・な、んかって、何が?」
「俺、好きな奴がいるんだ。」
一瞬、何をいわれたのかわからなかった。
澤村が、好きな、人。
「・・・・・そうなんだ。」
「うん。お前だよ。」
「おまえって誰・・・え?」
あれ?ちょっと待って。発音・・・え?あれ、御前さんじゃなくてお前?あれ?・・・待って。もしかしてとか、その期待しちゃうから待て。待ってよ澤村。ああもう頭が駄目だ。視界が滲んで澤村の顔がよく見えないよ。澤村、ねぇ教えて。
「澤村は、」
私のこと、どう思ってるのと言えば私は暖かいぬくもりに包まれた。
涙が染み込む
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