03 [ 3/7 ]


気付いたら、好きになっていた。

最初は、話しやすくて優しいアイツが、大地に惹かれていくみょうじが、女子として可愛いと純粋に思った。こんな奴が、彼女だったらよかったのにって。

だから、それと同じぐらいにみょうじがいかに大地が好きなのかは、近くで見ていたつもりだ。わかってた筈なんだ。駄目だと、知っていた。なのに、理性と感情は反して、気持ちが膨らんでいった。大地を想うみょうじを見て、俺もあんな風に想われたいと思った。
その時点で、俺はもうみょうじをただの友達として見れなくなっていて、だけど、大地を想っている時のみょうじのあの幸せそうな笑顔が、一番好きだったから。言わなかった。俺は、友達として。幸せそうな二人を見たかった。見たかった、筈なのに、

「みょうじ」
「あ、スガ。委員会終わったんだ?」
「ん。・・・なぁ、」
「ん?」
「部活、終わったら少し時間がほしい。話したいことが、あるんだ」

みょうじが、大地に振られた日。無理して笑うみょうじを見て、ずきずきと胸が痛んだ。そして、それと同時に安心していた自分がいた。あの日、俺は自分がわからなくなった。いや、信じたくなかった。俺は、こんなにもまだ欲があったのか、と。自分が、彼女を幸せにしたいという欲が、どろどろと溢れ出して、その時、俺はただ、みょうじの頭を撫でることしかできなかった。


「うん。わかった」


もう、終わらせよう。こんなの、良くなかったんだ。こんな俺を隠してみょうじの傍にいることは、駄目だ。大地がみょうじを幸せにしてくれるなら、それなら、大地が俺に気を使わなくてもいいように。

俺が、離れればいい。



*************


「・・・・・・・・・・え?」
「好きなんだ。みょうじが」

目を丸くして、口をポカンと開けるみょうじが可愛いと思った。あぁ、もう本当に重症だな。

「俺は、お前とはもう友達でいられない。・・・友達として好きであると同時に、女の子として、好きなんだ。」

だから、ごめんな。部活仲間としてよろしく。そう早口に言えば俺は逃げるようにみょうじから背を向けて立ち去った。これで、よかったんだ。もう、これで終わりだ。俺、頑張った。ちゃんと、思いは伝えた。

ちゃんと、伝えた。


汚い色は白で塗り潰して

[*prev] [next#]
top
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -