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みょうじに対するスガの柔らかい笑顔や雰囲気には気づいていて、別に直接聞いた訳でもなかったがスガがみょうじを好きなことは聞かなくても十分わかってたことだから、聞かなかった。

「よっ」
「スガ・・・」
「委員会で遅くなってさ。大地はノート提出か?」
「あぁ。先生に頼まれてたやつ。」

今になって思う。その選択は間違っていなかったんだと。
そしてきっと、名前は、そのことに気づいていない。スガが、自分を好きなんて気づいていないのだろう。

「・・・・・なぁ、」
「ん?」
「なんで、みょうじのこと、振ったんだよ?」
「・・・・・・・どうしたんだよ、急に、」

スガは、みょうじが俺を好きだと言うことを、みょうじが俺に告白してくる前から知っていたんじゃないかと思う。いや、もしかしたらスガとみょうじは仲が良いから聞かされていたのかもしれない
何で振ったかって、そんなの当たり前だ。だって、みょうじは部活仲間で、それ以前に友達で、みょうじをそんな風に思える訳がない。
そう、至極当たり前のことなのだ。


「・・・俺は、みょうじのこと、そんな風に思えないから、な。みょうじは、大切な、・・・・仲間だよ。」
「・・・本気で、そう思ってんのか?」
「・・・・あぁ。本当だ」

どうしてか、口に出すと胸の奥がひんやりとして虚しい気持ちになる。何でだと思った途端に、鼓動が早くなった。・・・・・本当に、どうしたというのか。


「・・・・もし、俺に気を使ってたりして、」


気を使う?そんなの、ある訳が、ない


「みょうじの気持ちを無視とかしてたら、許さない」
「・・・・なに、言ってんだよ、」

あぁ、そうか。さっきから俺は動揺しているのか。何故だ?スガが、まさかスガからそんなことを言われるとは思わなかったからか?それなら、俺はみょうじへの気持ちはお前とは違うとハッキリと。そう、もっとハッキリと断言すればいい。俺は、何故口を開かない、何に迷っている?何が俺を、


「・・・・そんな風に思えたら、楽だったのかもしれないな」
「、」
「俺も、お前みたいに気づかなきゃよかったのにな」


もう、わかってんだろ?眉を下げて笑うスガが、トンと俺の肩を拳で突く。不覚にもよろけた。俺の頭の中は、わかってんだろの意味に悩まされていて。今俺は情けない顔をしているのだろう。俺の顔を見てバーカと苦笑してスガは早くお前も来いよと教室から出て行った。

「・・・・・・・・・・・」

暫くして俺の目線は窓越しの夕焼けから徐々に下へと下がっていった。スガが出て行った辺りに理解した俺はもう倒れたい気持ちになっていた。俺の身体は夕焼けに照らされて染まっている。案の定掌を見れば、橙に近い赤に染まっていた。その手をぎゅっと握れば長い溜息が零れる。


「・・・・・あー・・・・・・っ・・・・」


俺の顔が夕焼けにも負けないぐらい赤く色付いていたことは俺を含めて誰も知らない話。


鮮やかすぎて目を背けていた

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